ミステリー
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ミステリー 2017年08月08日 19時00分
川原で自殺した亡霊“くびれ鬼”の誘い 〜栃木県の伝説より〜
昔から、自殺者の霊はなかなか成仏できずその場で次なる自殺者を呼ぶとされている。 例えば「七人ミサキ」等の霊団が妖怪になったケースでは、犠牲者を一人得る度に一人が成仏していく性質になっているので、いつまでたっても犠牲者が減らないという仕組みになっている。 栃木県には、自殺した人の魂に関係するこのような伝説が残っている。 江戸時代後期の儒学者である蒲生君平はある日、綾瀬川のほとりを散歩していた。夕暮れ時を過ぎ、当たりが暗くなって人通りが少なくなってきた頃のこと。 不意に腹が痛くなり、便意を催した蒲生君平は川原に出てしゃがみこんだ。すると、尻に何かが触っている。一体何かと手を伸ばして掴んでみると、丈夫な紐が手に触れた。さてどうしたものかと紐を眺めていると、女の声が聞こえてきた。 「その紐を返せ。さもなければ恐ろしい目に遭うぞ」 しゃがれ声で凄んでみせる声に、蒲生君平は(どうもこの世のものではないようだ)と思ったが、生来豪胆な性質であったので女の声を意にも介さずにおいた。 すると、女の霊が彼の前に現れてみるみるうちに鬼神のような形相へと変わっていった。それでも君平は怯まず紐を返さずにいると、女の霊はその姿を奇怪な妖怪へと変えた。 これはこの女の霊が脅そうとしているのだろう、と思った君平がなおも涼しい顔でいると、妖怪はやがて元の女性の姿に戻ってしまった。そして、大人しく彼に自らの境遇を語り始めたのである。 「私はこの川原で自殺した亡霊です。成仏出来ないまま彷徨いながら、土地神にこき使われておりました。そこで、代わりの人間をこの紐で自害させ、代わりに差し出そうとしておりました」 つまり、この自殺した女の霊は、生者を死に引き込まない限り自分が成仏できないため、犠牲となる人物を探していたのである。 今も自殺の名所とされる場所は存在しているが、もしかするとそこにはこの女性の霊のように、成仏するために犠牲者を探している霊がいて死の淵に引きこもうとしているのかもしれない。 監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年08月05日 18時00分
1954年にアイゼンハワー大統領がエイリアンと会見していた!?
エイリアンが地球上で行っているとされるUFOによる地球人の誘拐、いわゆる「アブダクション」は米国と宇宙人による取り決めの元に行われているという情報がある。 1954年の2月下旬に、休暇でカリフォルニアに行ったアイゼンハワー大統領は、ある晩、突然に記者達の前から姿を消し、ミューロック陸軍飛行場(現在のエドワーズ空軍基地)にて宇宙人との公式会見を行い“1954 Greada Treaty”(グリーダ条約)なる条約を結んだというものだ。 このグリーダ条約の内容は、「①この協定は秘密にすること。②エイリアンは、合衆国政府に対して、『技術供与』もしくは『技術開発の促進』を行う。③エイリアンは、地球上の他国とは、協定を結ばない。④その見返りとして、合衆国政府は、極く限られた人数に対して、期間を区切り、アブダクションを実施する権利を有する」とされている。 つまり、米国政府の承認の元にアブダクションは行われているということなのだ。この条約は日本ではあまり知られていなかったのだが、近年ではあの「幸福実現党」の立候補者数名により公開されているようだ。情報としてはちょっと危うい内容かもしれない。 ただ、UFOに接触、あるいは情報を公開しようとした大統領は歴代でも何人か存在し、第35代大統領のジョン・F・ケネディはCIAが隠密しているUFO情報を公開しようとしたと言われている。 さらに第39代大統領ジミー・カーターは1969年、ジョージア州アリーでUFOを目撃したとされており、大統領選出馬の際には「国家が隠密しているUFO情報をすべて公開する」と公約していたとされるが、実際にはその約束が果たされることは無かった。 2009年11月27日にはバラク・オバマ大統領がUFOや宇宙人の存在を公式に発表するという噂がインターネットを中心に流されたことがある。これも実際には無かったのだが、このようにアメリカ大統領に関連するUFOの話題は数多く存在するようだ。監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年08月01日 18時00分
園瀬川の河童?を見た話 山口敏太郎の実体験
筆者が子供の頃には、徳島でもボーイスカウト活動が盛んであった。かくいう筆者も、ボーイスカウト徳島第一団に加入し、日々野山を駆け巡っていた。 「ようし、次はどこで野営だ」 当時、徳島第一団はキャンプを得意とする団であり、年中あちこちでテントを張っていた様々なキャンプ大会もあった。徳島中の団が集まる大規模なキャンプ大会。徳島第一団だけで行う隊キャンプ。自分の所属する班が徳島第一団の敷地内で行う班キャンプ。 「この夏もキャンプやるぞぅ」 キャンプ好きだった筆者は喜んで、このキャンプに参加した。 ある年の夏、中学二年だった筆者は、隊キャンプとして園瀬川の河原で野営した。 「なんか、怖いな、俺らだけ離れとるなぁ」 「ほんまやな、本部からも遠いし」 河原に隊の全員がテントを張るのだが、どういうわけだが自分たちの班だけが一番端に野営することになった。隊長や大学生、高校生の先輩たちがいる本部は程遠い。 「こんなんで、泥棒の襲撃でも受けたら、やばいんとちゃうか」 「ほんまやなぁ」 竈をつくりながら後輩たちが、ふと弱気な発言をした。既に班のリーダーであった筆者は内心、不安に思ったものの、後輩たちの手前、強気に振舞った。 「なにゆうとるんじゃ、わいがおるからいけるわぁ」 と言ったものの、実は内心不気味な気配を感じていた。 「わかりました」 後輩たちは、筆者の言葉に勇気付けられ、夕食のカレーづくりも終わり、キャンプファイヤー後、無事就寝となった。だが、やはり少年たちの予感は当たった。界の住民による事件は起こったのだ。 就寝時間の後も、しばらく昼間の失敗などを冗談を交え、話し合っていた。キャンプの楽しみのひとつである。すると、後輩の一人が声をあげた 「……ん、あれ、なんか聞こえる」 「ほんまやな、足音かいな」 突如、奇妙な音が聞こえたのだ。テントの近くで音がする。 「確かに、足音が聞こえてくるわ」 後輩たちが騒ぎ始めた。いかん、このままではパニックになってしまう。 「まず、落ち着け、冷静に状況を見なあかん、それがボーイスカウトちゃうか」 筆者も、努めて冷静に、語りかけた。この時、私の耳にも確かに奇妙な足音が聞こえていた。 「先輩、どないしょう」 後輩たちはまだ震えている。 「まぁ、わいにまかしとけ」 四名の後輩を落ち着かせると、筆者は言った。 「この足音、ひょっとしたら、噂のキャンプ場荒らしかもしれん、だとしたら、いきなり出たら危ないぞ」 そう言うと、私はこの足音に注意を払ってみた。なるほど、我々五名が寝ているテントの周りを、ぐるぐる廻っている。まるで、何かを観察しているかのようであった。しかも、足音はテントの周りの雑草を踏みしめる音である。 「なるほど、泥棒はわいらの出方を見とるな、おいテントまくって泥棒の足の動きを見てみい」 そう後輩に指示を飛ばすと後輩はおそるおそるテントの裾をまくった。 「先輩、めくりました」 外部の雑草が見えた。全員で前かがみになって外を覗いた。 「えええっ」 我々はその場で全員が硬直化した。なんと、足音と同時に雑草が倒れていくのだが、足が見えないのだ。 「足が、みっ、見えん」 見えない足によって踏み潰される草。依然として、足音は聞こえ続け、テントの周りを廻っている。 「なんやろ、あれ」 筆者は思わずつぶやいた。この言葉に、全員が沈黙した。すると、大学生の先輩たちが見回りに来た。夜間の定期パトロールである。がやがやと、話ながら近づいてくる。 「助かった」 その瞬間,足音がぴたりと止まった。我々も一斉にテントの外に出ると先輩たちに駆け寄った。 「うわ〜、霊が出ました」 「出たけんど、泥棒でなくて、幽霊だったわ」 我々は口々に大学生の先輩に説明したが、笑われてしまった。 だが、あれから二十六年が経った今でも、あのシーンは目に焼き付いている。透明な足が、雑草を踏み倒していく瞬間。 あれは、真夏の夢であったのか。 それとも、少年の日の幻想だったのか。監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年07月29日 20時00分
実話怪談「首無し馬」 山口敏太郎の実体験
私は城南高校卒業後、大学進学の為、県外に出た。時間の歩みは早い。あっという間に20年という歳月が流れてしまった。 …あの頃から、徳島も随分と変わった。一人感慨にふけってしまうのも年令のせいだろうか。(随分と、おじさんになってしまった)そう想いながら、私は密かに…ほくそ笑む。 それにしても、この20年間で帰郷したのは、5回程である。いずれも、結婚式・葬式など冠婚葬祭がらみであり、骨休みなど一度もなかった(笑)。私はいつまで、馬車馬のように働き続けるのであろうか。ハードな執筆活動の中、今でもふと徳島の濃い空間を思い出す事がある。 昭和51.52年の頃であろうか。そう、あれは小学校高学年の時だった。当時、八万小学校に通っていた私は奇妙な噂を耳にした。「ソノセ川沿いの一本松に、首無し馬が出るんぞ」 噂の発信元である友人某は額に汗をため力説した。 「これはな〜ほんまの話やけんな」 「うそ〜そんな妙な話が、あるかいな」 私は鼻で笑った。 当時既に妖怪博士と異名をとっていた私だったが、この昭和の時代に妖怪話などありえないと思っていたのだ。 それから一週間ぐらい経った時の事。私と友人某は一本松に張り込みを開始した。だが、何も出なかった。 「やっぱ馬の妖怪なんかおらん」 「ほんまやな〜迷信かいな」 その日はすっかり科学小僧になり、二人は帰宅した。 更に2年ぐらいたった夏。私はボーイスカウト徳島第一団の団員としてキャンプに参加した。野営地は、ソノセの河原。あの一本松が見える場所である。 (なんか、いややな〜) と私は思ったが、テントの設営は粛々と進行した。しばらくすると、排水路を掘っていた後輩が大声をあげた。 「うわー、なんやろ、これ」 後輩の手には馬の土偶が握られている。得もしれぬ恐怖が私を襲った。 (馬って……一本松に出てた馬の妖怪ってこいつかもな) 私はしばらく土偶を見つめていた。土偶が死者を供養する為のものと知ったのはちょうどその頃である。 偶然のおりなす恐怖、アンバランスな不安。妖怪とはこういうものだ。私はそう教わったような気がする。監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年07月25日 18時00分
「深夜に馬乗りになって首を絞めてくる霊」 山口敏太郎 友人の実体験
これは筆者の友人であるTの体験である。永らく幽霊やオカルトなど信じていない質であったTだが、一度浮遊する幽霊を目撃して以降は信じるようになった。 “百聞は一見にしかず”とはこの事である。特に幽霊とUFOは見ないとお話しにならない。この事件からしばらくして、Tは再び怪事件に悩まされる事になる。 ある夜、私の自宅に電話がかかってきた。Tである。 「おい、うちに今から来てくれないか」Tは酷く慌てている。 「いったいどうしたんだ」私は宥めるように訊ねた。 「出た、出たんだ」 「出たって、何が……?」 「何がって ゆっ幽霊、いやっ、いや生霊だ」 「……」 ごくりと唾を飲み込むTの様子に異常を察知した私は、翌朝Tの住宅に向かった。 奴の下宿は都内、私の下宿は横浜にあり、時間にして2時間程電車を乗り継いでいく。 「おーい、いるか」 「おおっ来てくれたか、幽霊探偵さん」 Tが笑えない冗談を言う。 無理に作り笑いをするTの目の下には、隈ができていた。Tの話によるとこうである。 昨夜、遅く帰ってきたTは、そのまま布団にうつ伏せになり眠ってしまった。まあこれは、毎晩繰り返される事らしく、独身男には、よくあるワンシーンである。だがここからが違った。 Tが深い睡眠に落ちると、必ず誰かが馬乗りになり首を絞めてくるのだ。最初は窓から友人が入って来て、首を絞めているのかと思ったそうだ。だが、力の入れ方が違うというのだ。力の限り、全身を使って、思い切り絞める。…つまり、殺意があるのだ。 「誰だ!! いい加減にしろ」 Tが跳ね起きても誰もいない。そんな事が朝まで何度も続いたという。 「そいつの顔は見えなかったのか」という私の声にTはこう答えた。 「うつ伏せに俺は寝てるんだけど、そいつの背中が何故か見えるんだよ。イメージが浮かぶというのかな。犯人の姿が後ろ姿で浮かび上がってきたんだ」 「誰だ、そいつは」 「同じサークルの女の子さ、俺の事を好きらしいのさ」 片思いに胸をこがす女性の生霊は、時として死霊よりたちが悪い。監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年07月22日 19時30分
【実話怪談】トンネルに横たわったまま浮く亡霊
主人公は徳島出身のT氏である。 私とTは高校時代の同級生で、大学進学後も親交のあった男である。高校でもトップクラスの成績を収めるインテリタイプの男であったが、オカルト趣味の私と何故か気が合った。 「何かにこだわる姿勢は大事やからな」 Tは私のオカルト研究に理解を示した数少ない友人の一人であったのだ。後にTと私は共に関東の大学に進学し、関東周辺の魔界探索に明け暮れる事になるのだが、同時期、Tは不思議な体験に、二回遭遇する事になる。 2004年の7月、私は都内でTと軽く酒を呑んだ。東京を離れ、徳島にUターン就職した奴と会うのは4年振りであった。いまだに独身貴族を気取るTだが、お互い既に30代後半になっていた。 「お互い歳とったな〜」 「何言よんぞ、わいはまだ若いぞ〜」 Tは屈託なく笑った。ノリの軽さは学生時代のままである。 「ほんなんやったら、早く年貢を納めて結婚せいだ〜」 「う〜ん、見合いの話はあるんやけどな〜」 Tはうまく話をはぐらかした。どうやら結婚という束縛は嫌いのようだ。 最も私も今になって結婚に伴う責任の重荷はよくわかる。 だから友人にはおいそれとは勧められない。 そんなこんなで酒を呑み、馬鹿な話をしながらも、私はTが学生時代に経験した怪異談が気になって仕方なかった。 「おい、あの話をもう一度聞かせてくれへんか」 私は単刀直入に切り出した。 「なんな〜酒の席でも怪談の取材かいな」 Tは、私が持参した最新の拙著を眺めながら、にやりと笑った。 「あの、トンネルの事件から頼むわ〜」 「あれか、気色悪い経験だったな〜」 Tの箸が止まった。思い出すように遠くを見ている。 当時、大学2年だったTは、楽しみにしていたサークルの合宿を、独り早めに切り上げて東京にある自分のアパートに車で向かっていた。 本当は最終日までいたかったのだが、どうしてもはずせない用事ができたのだ。 「くそ〜あせるな、ほんまに」 Tはややご機嫌斜めであった。そして、運転もいつもより若干乱暴であった。 スピードがいつもより余計に出ていたかもしれない。 Tご自慢の愛車のタイヤが、微かに悲鳴をあげている。 「ああっ〜ねむ〜」 気が緩むと瞼が閉じてしまう。 睡魔と戦いながらTは運転を続けた。 「あの娘、どうしてるかな〜」 当時Tには気になる女の子がいたのだ。合宿はまたとないチャンスである。 それが、自分だけ戦線離脱とは… ある部分、納得いかない部分もあったのかもしれない。「次は絶対最終日までおるからな〜」 Tは、怒るようにつぶやいた。 兎に角、いつもは仲間と一緒に移動する車である。 深夜の単独ドライブ程つまらないものはない。 たった独りで無機質な夜のアスファルトを睨むだけだから、 心の中に退屈な気分が持ち上がって来ることを、押さえきれない。 「ああ〜誰でもいいから、隣りにおればな〜」 Tは、眠い目をこすりながら、ハンドルを握り続けた。どのくらい走ったであろうか。 Tの車は神奈川県の某道路に入っていた。この道路はトンネルが多いので有名である。 「…なんや、随分トンネル多いな」ブツブツ言いながら、Tは慎重に運転を続けた。(いかんいかん、慎重に運転しないと…) Tのハンドルさばきが軌道修正された。 とかく夜間のトンネルは事故を起こしやすい。 「…んっ あれは」 Tは自分が視覚で捕らえたものが何か、最初は理解できなかった。 「まさか…でもそうだろうな …たぶん」 Tはその物体を注視し続けた。 ちょうど車の進行方向にあるトンネルの前に浮いている。 そう浮いているのだ。 「………」 Tの見たものは、横たわった人間であった。しかも透明で向こう側が透けて見える。透明で空中に浮いているのだから、間違いなく幽霊だろう。(でもなぜ横たわっているのだ?)Tはそれが疑問であった。幽霊なら普通立った姿で出てくる。それがなぜ横たわっているのだ。 「ひょっとしたら」Tの脳裏に結論めいたものが浮かんだ。 あれは遺体なのだ。土葬された遺体なのだ。だから、幽霊は土葬されたままの状態で出て来るんだ。 Tはハンドルを持つ手に、じんわりと汗を感じた。文:山口敏太郎 監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年07月18日 18時00分
狐を使って呪術を行う「狐ばばぁ」〜徳島の怪談〜
「おい、おまえ、狐ばばぁって知ってるか?」 そう聞いてきたのは、友人Nであった。Nは幼馴染で、どこかすねたところのある男であった。 「狐ばばぁ、何いうとるんじゃ、アホとちゃうか、ここは徳島やぞ、狐なんかおらんわ」 私は、Nの軽口をいなすと、笑った。するとNは一瞬、口をとがらすと、反論した。 「うそちゃうって、ほんまに狐を拝んでいる婆ぁがおるんやって」 「ほんなことがあるかいな」 否定する私に向かってNは、狐ばばぁの話をしてくれた。 Nの話によると、眉山のふもとに一軒のあばら家があるという。そのあばら家に、片目が不自由な老婆が住んでいた。この老婆が、狐を使った呪術をすると、近所でも評判の老婆であった。子供たちの目にも、その姿は明らかに異様で、不気味に映った。 「あの、おばあさんは狐を使うから、注意しなさい」 「やばいわね、あの人を怒らすと狐を使って復讐するのよ」 近在の主婦たちは、そう言って子供たちに警戒心を与えた。 だが、Nはその老婆に近づいた。 彼女が狐を使って行う呪術に興味があったのだ。Nは、老婆の家に度々通い仲良くなると、願い事をした。 「おばあちゃん、狐の魔法を見せてよ」 老婆はこの問いに、ふふふっと笑った。そして、こう話を続けた。 「狐が見たいか、そうか、狐さまはな、お祈りを聞き届けてくれるとき、必ずお使いをよこす」 しゃがれた老婆の声にNは、興味をそそられた。 「お使いって、なに?」 「使いは狐そのものじゃ、使いはな動物の狐の姿になってこの庵に遊びに来るんじゃ」 老婆は、かかかっと笑うと、祭壇を拝み始めた。 ある夜のこと、塾の帰りに老婆の家に寄ったNは、お使いの姿を見てしまう。いつものように老婆のあばら家で、狐の話を聞いていると、老婆が突如立ち上がった。 「おうおう、お使いさまがこられた」 Nはその言葉に全身が硬直した。ついに、狐の使いが見れるのだ。嬉々として玄関に歩み寄る老婆。Nも興奮を抑えきれない。 「よくおいでくだすった、よくおいでくだすった」 老婆が玄関を開けると、そこには一匹の狐が座っていた。闇夜に、ぽつんと浮かびあがる狐の姿。物凄い鋭い視線で、狐がNを睨んだ。狐の目は、何もかも見透かすような迫力があった。 「これを、おあんがんなさい」 老婆は、油あげを狐に差し上げると、深くひれ伏した。この時、狐の口元が笑ったように見えた。 「どうぞ、願いをかなえてください」 狐は、じろりとNの方を一瞥すると、油あげをくわえ、そのまま姿を消した。後には静かな闇が、残るのみであった。 Nはその後、長ずるにつれ、生活が乱れ始める。成人後には、借金をする、女遊びにはまると、破綻した人生を送る。大学時代、筆者がNと呑んだ時、酔っ払った奴がまるで狐のような素振りで歩き回った事は忘れることができない。お使いに、心を奪われたのであろうか。狐ばばぁから、狐への崇拝を受け継いだのであろうか。 今はもう、狐ばばぁのあばら家も、跡形もない。あのNの行方も、まったく不明である。監修:山口敏太郎事務所 イラストレーター:増田よしはる
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ミステリー 2017年07月15日 20時00分
闇米政策の罪を背負い死罪となった“十郎兵衛事件”の闇と怨霊伝説
江戸期において、諸藩の間で商業価値のある農業品が盛んになった時期がある。現在の徳島県である阿波藩もそうであった。 貨幣兌換率の高い「藍」染めが流行り、儲けの薄い米を作らない時期があった。当然、藩内では米が足らなくなる。かと言って、他藩からの米の買い取りは制限されているし、裏取引で米を他藩から買い取る闇米は重罪であった。 「しかし、このままに捨て置けぬ、誰ぞを藩の代人として、闇米を購入させろ」 藩の上層部の指示により、十郎兵衛という資産家の男が闇米の取り扱いを行った。おかげで、阿波藩の米不足は解消されたが、この行為が幕府の知るところとなった。「闇米は十郎兵衛の独断でござる」 いつの時代でも切り捨てられるのは弱者である。不幸にも、闇米政策の罪を背負い十郎兵衛は死罪となった。 その悲劇は阿波の人形浄瑠璃になり今も上演されているが、怨念は今も晴れていないという。何故なら、十郎兵衛屋敷において、不思議な写真がとれたり、怪異な現象が続いているからである。 この話を友人でもある徳島の郷土史家・多喜田氏にしたところ「その祟りの原因は、十郎兵衛とは限りませんよ」と言われた。 氏の説によると、現在怪異が起こると言われている噂の十郎兵衛屋敷は、元々四国の某酒造メーカーの社長の自宅であり、それを観光的に十郎兵衛屋敷として移転し、再構築しているだけであるという。つまり、十郎兵衛が住んだ屋敷ではなく、企業の社長が所有していた旧家なのだ。 すると、怪異の主は誰で、誰に、何を訴えているのか。 筆者は少年時代から度々十郎兵屋敷に行っているが、一瞬にして鬼のような顔に変化する浄瑠璃人形が怖くて、怖くて腰を抜かしそうになった事がある。 木偶人形に対する潜在的な畏怖が産んだ怪異談ともいえるだろう。徳島が生んだ都市伝説である。監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年07月11日 18時00分
人間の胎児のようにも見える 不気味な半魚人のミイラ
これは知り合いの山中さんから聞いた不可解な話である。 山中さんが学生時代というから二十年近く昔の話である。彼の住む町に偏屈で有名な老人が住んでいた。その老人は多くの事業に成功しており、豊かな生活を送っていたが変わり者で周囲の他人を寄せ付けなかった。 だが、ある日山中さんはその老人と仲良くなることに成功した。戦争中の負傷で右目、右手、右足にハンディキャップを抱える老人は基本車椅子生活であった。 「ちくしょう、とれねえな」自動販売機の前で小銭を落として拾えず困っている老人に手を差し伸べたのだ。 「これですね。どうぞ」笑顔で小銭を拾って渡してくれた彼の顔を見ると、老人は気味の悪い笑顔を浮かべ、自宅に招いてくれた。 「ほう、おまえは良いやつだな、俺の家に遊びに来ないか」 「ええっ、いいんですか」 老人宅にあがった彼はその内装の豪華さに仰天した。贅沢な美術品や精巧な工芸品が山程おかれていたのだ。その中に奇妙なミイラがあることに気がついた。 「なんですか、これは」 何か両生類のようにも見えるし、人間の胎児のようにも見える。恐る恐るミイラを覗き込む彼の耳元で老人はしゃがれた声で言った。 「この不気味な生物は、わしの守り神なんじゃよ、いひひひぃ」 「このミイラが 守り神なんですか」 不思議そうに聞き返した彼に向かって老人は戦争中の体験を披露した。南方で所属部隊が全滅中、老人は一人彷徨っていた。 「ちくしょう、絶対に生き残ってやる」必死に海岸沿いの道を歩き続けるが、なかなか味方には合流できなかった。そのうち海面に黒い影が浮かんできた。 「んっ、なんだ!!あれは」 恐怖に震える老人に、その影が飛び掛ってきた。明らかに怪物であった。まるで半魚人のような人型の水棲生物であった。 「わわわわぁぁぁ」 怪物は老人の右手や右足に噛み付いた。凄まじい流血の中、近くにあった棒を使って反撃する老人。怪物を数回殴打したが、激痛とショックでそのまま気を失ってしまった。気が付くと友軍の野戦病院であり、左手にはあの怪物が小さいミイラになって握られていた。 「わたしはどうしたのだ」 「あなたは、右目、右手、右足に大怪我を負っているところを味方に助けられたんですよ」 その後、終戦となるのだが、老人はそのミイラを肩身はなさず持ち歩いた。 「以来、わしは株やギャンブル、企業経営などで負け知らずで、今の財産を築いたというわけじゃ」 老人はそう言って、不気味なミイラを見て笑った。 それから数日後、老人は海岸近くで遺体となって見つかった。残った左目、左手、左足を負傷した状態で死亡していたのだ。そして、外出するときはいつも身に着けていたあの半魚人のミイラは、そのまま行方不明となった。監修:山口敏太郎事務所
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ミステリー 2017年07月08日 19時00分
首吊りの電話ボックス
K大学の、大抵の学棟の前や敷地内には電話ボックスが設置されている。だが、唯一商学部A棟前の道にある電話ボックスのみ、背の低い電話スタンド(小さな屋根あり)になっている。 大学の敷地の中で、屋外にある公衆電話で電話ボックスではないのはここに設置してある電話スタンドのみ。なぜここの電話ボックスが電話スタンドになったかというと、その後ろにある大きな木に由来がある。 一人の学生が、何らかの原因で心を病み、商学部A棟前の大木にロープを垂らして首を吊ったのだ。首を吊るのに丁度良い枝が、電話ボックスの上に突き出ていたため、電話ボックスによじ登ってロープをかけ、そこから飛び降りて自殺したのだ。 それ以降、この電話ボックスで電話をかけていると、電話ボックスのアクリルの壁を、誰かが外からドンドン! と激しく叩くようになった。 勿論姿は見えない。が、叩かれるのは学生の頭より少し上ぐらい。つまり天井付近なのだ。首を吊った学生が、死にきれずにもがいた足が、今も電話ボックスの壁を蹴り続けているのだ。 そんなことがあってから、電話ボックスは撤去されて、代わりにずっと背の低い電話スタンドが建つようになった。 また、大学の大きな木は全て、下の方の枝は根本から切り払われるようになった。枝があるのは余程細い枝や、低い木のものばかりである。勿論、もう2度と誰も首を吊るような事が無いように、である。 だが、たまにこの学校で写真を撮ると、枝からロープを垂らしてブラリと下がった影が写る、と言う。 ついでに、霊感のある友人が「ここの木は怖いよ、だって全部の木から誰かがぶら下がってるし」と言っていた事も、付け加えておこう。文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所
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