ミステリー
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ミステリー 2018年07月08日 23時00分
【山口敏太郎が語る“都市伝説”】呪われている?いわくつき「ティッシュのCM」
不気味なCMや映像作品には、見る人に強い印象を与えるせいか、都市伝説が生まれることが多い。 不吉なCMとして噂になったものと言えば、もはや都市伝説としては古典とも言える「某ティッシュのCMにまつわる怪談」が想起される。 1985年前後に放送されたティッシュのテレビCMには、多くの不気味な噂がささやかれた。CM制作スタッフが、次々と交通事故や変死に見舞われ、怪我人や病人が続出したと言われたのだ。 CMを撮影したカメラマンはサウナに入っていたところ、サウナマシーンが爆発して焼死したとの噂が。出演していた赤鬼役の外国人の子供は、CM撮影収録後に交通事故に遭遇し、衝撃で首が飛び死亡したとか、このCMを見るだけで発作的に死を選んでしまう自殺者が続出したともささやかれた。同じく出演していた女優が呪いの影響でノイローゼに陥り、精神病院の隔離病棟で軟禁中に首を吊って自殺したとの噂が流れたが、さすがにこの女優の噂は“ガセ”だったようだ。 またこのCMをビデオ録画し、副音声で再生すると、挿入歌の若い女の歌声が、しゃがれた老婆の声に変わるという噂も。そもそもこの歌の意味が謎を呼ぶもので、さまざまな推測が出た。歌が実は悪魔を呼び出す黒ミサの曲だったとか、「皆死ぬ、死ね、皆一人残らず呪い殺してやる」という呪術の意味のこもった歌詞であるとか。「全フレーズ歌い終わると死んでしまう」など、根拠のない都市伝説がささやかれた。 現実には、誰も死亡していなかった。ただ、思わず噂を流してしまうような不思議な雰囲気のあるCMであったのは事実である。(山口敏太郎)
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ミステリー 2018年07月07日 23時00分
【山口敏太郎が語る“妖怪伝説”】トイレに出没する不気味な花子さんの妹「ブキミちゃん」
今年4月からアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期の放送がスタートした。社会風刺を交えたエピソードが面白く、昔から知られている妖怪も今風にリニューアルされた。これまでとはまたひと味違った鬼太郎の世界を見せてくれている。 そんな鬼太郎で“現代の妖怪”として登場したのが「トイレの花子さん」をはじめとした、「学校の怪談」や「学校の七不思議」によく登場する妖怪たちだ。この回では男子トイレに出てくる妖怪の「ヨースケくん」が登場。ヨースケくんは神奈川県横浜市の一部の学校で「出る」と噂されていた妖怪であり、「花子さん」に比べて圧倒的に知名度が低い。放映時はアニメオリジナルの妖怪だと思われてしまったようだ。 このように、トイレの花子さんの“亜種”のような妖怪は多数存在している。花子さんにはきょうだいがいるとされており、有名どころで言うと「太郎くん」と「次郎くん」がいる。太郎くんは花子さんを男子トイレ用にした存在とも言われているが、別のパターンでは、太郎くんは人が通るのを待ち構えていて、トイレに3人通ると麦わら帽子と雑巾を持って現れ、じっと見つめるのだという。 男子トイレの3番目のドアを20回叩き、「次郎さん、遊びましょ」と呼ぶと、「分かったよ」という声が聞こえ、天井に次郎さんの影が現れる。 また、花子さんには「ブキミちゃん」という名の妹がいるとされているが、このブキミちゃん、相当に強烈なキャラである。 ブキミちゃんはトイレの一番奥の個室にいると言われている。 顔は醜く膨張していて、体は丸々とした肥満体。口からは泡を吹き、手には首のない人形を持っている。 性格は非常に残忍で、何よりも血を見ることを好む。そして、かわいい子などを見つけると、捕まえて首を引きちぎるのだという。 さらには、人に憑依することもできる。ブキミちゃんに憑依されると虫が食べたくなり、最終的には自殺に追い込む。悪の限りを尽くす妖怪なのだ。 ブキミちゃんはかつて水死した人間とも言われるが、それにしても極悪な存在である。(山口敏太郎事務所)
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ミステリー 2018年07月01日 23時20分
【山口敏太郎が語る“都市伝説”】砂嵐…謎のテロップが出る?死後の世界とつながっている?
砂嵐とは、その日のテレビ局の放送が終わった後に流される、雑音の混じった無放送状態をさすのだが、砂嵐に関連した数々の都市伝説は多くある。NHKは番組終了後に、砂嵐の中で受信料の不払い者の名前を流しているなどと噂されていたが、最近では不払い者が多すぎて、朝の放送開始までに流しきれず、中止したという笑い話に変わっている。無論、都市伝説であるが…。 また日本テレビの放送終了時には、ハトが飛び回る映像が流されるが、日によって微妙にハトの動きが違うと噂された。何百回に1回程度しか放送されないバージョンでは、鳩が狂ったように飛び回り、最後は画面の天井や壁に激突し、バタバタと死んでいき、鳩の死骸の山ができたとか。あるいは、砂嵐の中で男が姿を現し、明日死ぬ者の名前を呼ぶとか、自分の肉親の名前を呼ぶとも言われている。 ある男が、砂嵐の中で男が発した「明日死ぬ人間」の中に自分の名前があることに気付き、恐怖にかられたという。身の危険を感じた男は一日中家に閉じこもったが、日付が変わろうとする数分前に自宅に飛び込んできたトラックにひき殺されてしまった。噂によると、砂嵐状態の時間帯は死後の世界と電波でつながっており、死者たちと交信できるのだという。砂嵐の中の男は死者なのだ。 またテレビ局によっては、砂嵐の中で明日起こる予言内容が流されているとも言われている。また、これは実際にあったことだが、1980年、NHK静岡放送局では夜勤の職員が見ていたノーカットのポルノ映画が電波に乗ってしまい、そのまま放送されてしまった。また、某局では深夜に地震が発生し、局内の映像に急に切り替えたところ、テレビ局内の不倫カップルがデスクで必死にセックスに励んでいる姿が中継された。砂嵐には多くの都市伝説があるのだ。(山口敏太郎)
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ミステリー 2018年06月30日 23時20分
【山口敏太郎のオカルト裏話】ワールドカップは呪術が飛び交う舞台だった!?
14日に開幕したサッカー・ワールドカップロシア大会。日本も下馬評を覆して健闘している。日本の試合を観戦している人も多いのではないだろうか。 ワールドカップには国の威信がかかっていることもあってか、出場国がゲン担ぎすることも多いという。例えば日本サッカー協会のシンボルマークは八咫烏(ヤタガラス)だ。日本代表は八咫烏ゆかりの川越熊野神社(埼玉県)に参拝しているという話があり、多くのサポーターもお参りして勝利を願うとされている。 中には勝利のために相手を魔術で呪うという話もある。黒魔術の存在が広く信じられているアフリカ諸国などでは特に多いらしい。日本と24日に対戦し、激戦の末に引き分けたセネガルも2017年のU20サッカーアフリカカップで対戦相手を呪ったとして問題になったことがある。 この時はFWのイブラヒマ・ヌディアエ選手が試合中に靴下から黒く小さな袋のようなものを取り出し、対戦相手であるザンビアのゴールの方に投げ捨てた。これを見たザンビアの選手らは「呪いをかけられた!」と怒り、ピッチの中で一触即発の事態となったのである。なお、試合結果は2−0でザンビア代表が勝利した。セネガル代表のヘッドコーチであるジョセフ・コト氏も「呪術は信じていないし、ザンビアが勝ったのだから呪術は存在していないだろう」と疑惑を否定している。 この時使用された呪術はブードゥー教を源流とする「ジュジュ(juju)」と呼ばれるもの。呪いのために人形を用いたり、さまざまな薬品を用いるなどの呪法(じゅほう)があるとされている。 他にも2010年のワールドカップ南アフリカ大会では、カメルーン代表がスタッフのひとりとして呪術師を引き連れて参加していた。2014年のブラジル大会でもガーナの呪術師がポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手に呪いをかけたと公言していた。なお、2014年のケースでは実際にロナウド選手が左足を負傷していたが、2010年のカメルーン代表のケースでは呪術の効果は無かったのか、カメルーン代表は敗戦が続いて予選リーグ敗退となっている。 今回のワールドカップではまだ呪術絡みの話は出てきていないが、いずれ今回の大会でもちょっと変わった呪術が纏わる話が報告されるのかもしれない。(山口敏太郎)関連動画Senegal under 20 ''The Juju Boys" full footage!https://www.youtube.com/watch?v=eCeTUVxUJcQ画像URLhttps://i.ytimg.com/vi/eCeTUVxUJcQ/hqdefault.jpg
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ミステリー 2018年06月24日 23時20分
【山口敏太郎の実話“怪”事件簿】女性3人、男性が空から落下するのを目撃 米ニュージャージー州
2010年9月14日、アメリカ・ニュージャージー州南部で、空から男性が落下する様子を、動物病院の窓から女性が偶然目撃。警察に通報するという事件が起きた。 男性が落下していく様子を目撃し、通報した動物病院勤務の女性は地元テレビ局のインタビューに答え、「もがいているかのように、空中で手足をばたつかせていた。パラシュートもパラグライダーもなく、本当にただ落ちているようにしか見えなかった。あっという間に視界から消えた」と男性が落下していく様子を証言した。 手足をばたつかせて落下する男性を目撃した女性は他に2人いた。男性の服は紺やグレーに近い濃い青色だったという。時間は午後3時半ごろだったそうだ。男性は高速322号線の並木の向こうに墜落したとの証言を目撃者から得たが、「どこに落ちたのかは遠くて分からなかった」と目撃者は証言した。 通報を受けた警察は男性が落下したと思われるエリアを徹底的に調査した。かなり広い範囲を捜索したが、警察は落下した人物はおろか、人が落ちた痕跡すらも発見できなかったという。現場の近くで怪我人が出たという話も、遺体を発見したという話もなかった。「雲を霞(かすみ)と消えてしまった」はまさにこのことだろう。 目撃者の女性たちは、人が地面に落下するのを見た直後に小さな飛行機が近くを飛ぶ様子も目撃していたという。目撃者らは飛行機が事故を起こしたか、スカイダイバーがミスをしたのではと思ったのだそうだ。しかし、警察によればスカイダイバーが行方不明になったという知らせも当局には届いていないという。 結局、この謎の落下事故は謎のまま、未解決事件となっている。(山口敏太郎)
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ミステリー 2018年06月23日 23時20分
【山口敏太郎の妖怪伝説】災害の前に現れる?今ネットを騒がせる「件(くだん)」「牛女」の噂
18日、大阪市北部を震源とするM6.1の地震が発生した。多数の死傷者が出たほか、大規模な停電も発生するなど、大きな被害が出た。 地震をきっかけに「動物園からシマウマが逃げ出した」などのデマツイートが流れる騒ぎもあった。そんな中、奇妙な証言がネット上に現れた。Twitterに投稿したその人物は仕事帰り、街灯の下に四本足の「子供の顔をした黒い生物」を目撃したという。あまりに不気味な生物だったために走って帰ったと証言していた。この生物の正体についてネットで話題になり、地震直後だったこともあって「妖怪の件(くだん)」ではないかとする意見が寄せられていた。 大きな天災の前には、昔から人の顔をした牛のような妖怪「件(くだん)」が出現すると言われていた。災いの前に牛から生まれてきて、予言を残して去ると言われているもので、阪神淡路大震災や東日本大震災の際にも出現したという噂が存在している。 関西圏には「件(くだん)」に似た妖怪の都市伝説が存在しており、兵庫の甲山近辺など、関西を中心に出現したとかつて噂されている。頭の部分は牛で、体は人間の女性だという。この「牛女」は不吉な予言をするという。また、凶暴で、人を襲うとの噂がある。牛の体に角の生えた女性の顔が付いた変種が存在するとも言われている。 牛女はもともと、良家のお嬢様だったという伝説も残っている。太平洋戦争の頃、神戸の裕福な商家に生まれた「件」は、生まれた時から頭にこぶのようなものがあった。そのこぶは次第に大きくなって角のようになり、顔もいつしか牛のようになった。彼女を恐れた親たちは彼女を座敷牢(ろう)に幽閉し、誰の目にも付かないように育てた。しかし、戦争の際の空襲で屋敷は焼け落ち、閉じ込めていた牢が壊れ、かねてから恨みを募らせ凶暴化した彼女は解き放たれることになったのだという。 この牛女は一時期、若者たちの間で広く噂された。関西圏では「牛女が出る」と言われた峠道にわざわざ出かけていく者も現れるようになったのだそうだ。 今回目撃された生物が「件(くだん)」や牛女だったのかは分からない。だが、予言をするという人面獣身の妖怪に似た生物がこのタイミングで出現したということには、何らかの不気味な符合を感じずにはいられないのだ。(山口敏太郎)
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ミステリー 2018年06月17日 23時20分
【山口敏太郎の“UMA”ファイル】ライチョウの翼と足を持つウサギの未確認生物!?「スクヴェイダー」
山口敏太郎が以前リアルライブの記事で紹介し、剥製も所有しているかわいいアメリカの未確認生物、ジャッカロープ。ウサギが鹿の角を生やしたような見た目で、現地アメリカでは精巧な剥製が作られている。なかなか愛されている存在なのだ。 そんなウサギに「プラスアルファ」したような外見を持つ未確認生物(UMA)は他にも、いくつか存在する。 例えばスクヴェイダーは20世紀初頭、スウェーデンでその存在が噂されたUMAである。 体の前半分と足はウサギで、後ろの半分はライチョウの姿をしている。言うなれば「羽の生えたウサギ」のような姿をしているのだ。 この生物の存在が噂されるようになったのは、スウェーデンのスンツヴァルという街のレストランだ。ダルマークという男が、ウサギとライチョウが組み合わせたかのような生物を捕まえたことがあると語ったことに始まる。 これはその場を和ませるための嘘であったのだが、ダルマークの誕生日に彼の甥がスクヴェイダーを描いた絵をプレゼントし、後にダルマークが死ぬ時に、この絵が地元の博物館に寄贈されることになった。 この博物館の館長はこの絵を非常に気に入り、剥製士のグランバーグにスクヴェイダーのような姿をした剥製を作れないかと依頼することにした。 グランバーグはウサギとライチョウの姿をイメージしながら、剥製を作り上げた。 この剥製と絵が博物館に展示されると大反響を呼び、一目この剥製と絵を見ようと博物館には連日たくさんの見物客が訪れるようになった。 それ以来スンツヴァルではスクヴェイダーが街のシンボルとなり、同博物館近くの道路標識に使われ、ライチョウを使った料理にもその名が残されることになった。 スクヴェイダーは、地元に愛される未確認生物と言えるのかもしれない。(山口敏太郎事務所)
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ミステリー 2018年06月16日 23時20分
【オカルト業界の権威・山口敏太郎の実話“怪”事件簿】〜メロンの精〜
これは筆者・山口敏太郎がある人物から聞いた話である。 ======== 小学生の頃、妖精が見えたことがあった。 ある夜、デザートのメロンを食べていた時のことだった。 食べ終わって、台所の流し台に持って行ったところ、流し台には既に弟が食べ終わったメロンの皮と、皿が放置してあった。 私が、使い終わったスプーンを弟の皿の上に置くと 「チン!!」 と、皿が割れんばかりの大きな音が響いた。 すると、置いてあった弟のメロンの皮から、1センチほどの青白い光の玉が 「ひゅるひゅる」 と20センチほど飛び上がり、私の目の高さの少し上くらいで 一瞬 (ぱぁっ) と弾けるように光り、そして消えた。 ちょうどそれは、花火のような、照明弾のような、マグネシウム系の光であった。 目の前で、フラッシュでも焚かれたような、チカチカした残像が目に残り、私はあっけにとられていた。 もちろん、そんなものを目の当たりにしたのはこれが初めてだ。我が家はあれを 「メロンの精」 「メロンを食べに来た妖精」 などと呼ぶようになった。 もちろん、普通に食器が触れ合っただけでこのような火花が散るわけでもなく、正体も原理も謎のままとなっている。 ======== 以上が、彼が報告してくれた体験談である。 一連の様子はまるで、何者かがメロンが食べてくれたことにお礼をするかのような光景だったそうだ。 人知れず山奥に生える柿の木から熟した実を人間に食べてほしいと、赤ら顔の大入道に化けて人の前に現れたという妖怪「たんころりん」の伝説があるが、彼が目撃したものもまた同じようなものだったのかもしれない。 これから暑い夏になり、メロンも旬を迎える時期になるが、もしかすると読者の方の前にも光り輝くメロンの精が現れるかもしれない。(山口敏太郎)
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ミステリー 2018年06月10日 23時20分
【オカルト業界の権威・山口敏太郎が語る“都市伝説”】〜バイトの先輩〜
S子は高校卒業後、某パンメーカーに就職した。そのメーカーのパンは、ふんわりとしていておいしいと評判で、S子は子供の頃から大好きだった。 (ようやく、自分の子供の頃からの夢がかなう) S子は入社してから、いきいきと働いた。1ケ月後、新入社員研修を終えたS子は、工場に配属された。彼女は菓子パンを製造するセクションであった。 白い作業着に着替え、帽子を被り、マスクをする。 さらに、手を消毒すると、S子は工場に入り、ラインの仲間にあいさつ回りをした。 「これから、仕事に配属されるS子です。お仕事いろいろご指導願います」 「ああっ…頑張んなさいよ」 「新人さん、頑張って」 「あんた、私たちみたいに早く一人前になるのよ」 ぺこりと頭を下げる新人のS子に、先輩たちは、マスクと帽子の間から優しい目をのぞかせ、答えてくれた。 (みんな、いい人ばかりで安心した。この会社に入ってよかったわ。よし!食べる人を感動させるパンを作るぞ) 彼女は気持ちも新たに、工場での仕事に取りかかった。 だが、そんなS子に対して、一部の先輩の反応は冷ややかだった。 「なにさ、自分だけ良い子ぶっちゃって…」 「本当!なんか鼻につくんだよね」 「わざとらしいって感じ」 張り切るS子の態度が上司への点数稼ぎに映ったのだ。 特にAさんという先輩は、S子を目の敵にした。 「私、ああいうタイプの子って嫌いなの、パン作りより、まず心構えだよ。私が徹底的にしごいてやるよ」 初々しい気持ちで仕事に取り組むS子が、Aさんにとってはまぶしかったのかもしれない。 初日から、Aさんの攻撃が始まった。S子のこねたパンの形が悪いとか、動きが悪いとか、内容はどうでもよいもので、何かにつけS子をいたぶるのだ。 (あんたの目玉はどこについている) これが、AさんがS子を指導するときの口癖だった。 しかし、これをいじめと言わずして、なんと言おうか。同期の仲間たちは、上司に相談するようS子に言った。 「S子、絶対あれはいじめだよ。お局さんの新人いじめってやつよ。人事課長に言いつけてやろうよ」 しかし、S子はこれを拒否した。 「これも勉強だから、いいの」 こうして、AさんのS子へのいじめに近い指導は2年近く続いた。 そして、3年目のある夜。何人かが臨時の夜勤業務に入っていた。リーダーはAさんだった。 「いいわね、手を抜いたら私が許さないわよ。目玉ひんぬいて真剣にやりなさいよ」 Aさんがゲキを飛ばしながら、作業は順調に続いた。S子も夜勤メンバーの1人であり、人一倍働いていた。すると、突如、悲鳴が上がった。 「だれか来て!Aさんが!!」 S子が悲鳴の方を見ると、Aさんが頭を押さえて倒れている。 「先輩、大丈夫ですか?」 S子が駆け寄ると、Aさんは頭を押さえながら力のない声でこう言った。 「私はもうだめかもしれない…。あとはS子さん、頼んだわよ」 そう言うと意識を失い、病院に運ばれていった。結局、頭に持病を抱えていたAさんは2日後、意識が戻らないまま亡くなってしまった。享年32であったという。 職場の仲間たちは、Aさんの葬儀に出席した。当然S子も一緒である。 一緒に働いていた仲間が死ぬなんて、信じられない。一同は一様に暗く、打ちひしがれていた。しかし、食品メーカーに休みはない。その夜もS子は夜勤を命じられていた。 (A先輩の分も頑張らないと) S子は悲しみを胸にしまうと、職場に向かった。そして、いつもように白い作業着に着替え、帽子を被り、マスクをし、工場のラインに入って作業を開始した。 仕事をしてから数分後、S子は異変に気が付いた。 (おかしい。1人、人数が多い) 確か6人で入ったはずである。でも今作業中の白い作業着の人間は7人いるのだ。 (おかしい、私の勘違い?それとも) ふと前を見ると、前に立っている人の目が、帽子とマスクの間で笑っていた。 (あっ、A先輩) S子が思わず声をかけようとすると、Aさんの姿は消えてしまった。 そして、それと同時にS子にはAさんのこんなメッセージが伝わった。 (もうあなたは大丈夫。あとはおいしいパンを作ってね) それ以来、その工場において、新人や若い社員が仕事を怠けたりすると、白い作業着姿の幽霊が出るようになった。亡くなったAさんが作業着姿で枕元に立ち、帽子とマスクの間から鋭い視線をちらつかせて、こう警告するのだという。 「目玉はどこについている」(山口敏太郎事務所)
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ミステリー 2018年06月09日 23時30分
【オカルト業界の権威・山口敏太郎が語る“都市伝説”】アパートの隣人
これはRくんの体験談として聞いたものである。 1980年代の終わり、長野から出てきたばかりのRくんは横浜で一人暮らしをしていた。 「よし、いつか有名になってやるぞ」 Rくんは、初めての一人暮らしに夢を持っていた。昼間は学校に通い、夜はバイトに明け暮れた。 「あの頃は、貧乏暇なしで寝る時間もなかったですよ」 当時、彼の住むアパートは、「オンボロアパート」という言葉がぴったりの建物だった。築30年近く経った、6畳一間のアパートに彼は住んでいた。アパートはコンビニからも遠く、駅から自転車で10分もかかる立地の悪さゆえ、家賃はずいぶんと安かったという。 「いや、でもあのアパートは何だか好きだったんです。妙に温かくてね」 彼はそのアパートに何か温かみを感じていた。そして、それ以上にうれしかったのは、隣の部屋に住む女子大生が美人でとても親切だったのである。 「こんにちは、なんだか雨が降りそうですね」 「こっ、こんにちは」 顔を合わせると必ずあいさつしてくれるし、付近のコインランドリーや、おいしい定食屋もいろいろ教えてくれたのだ。 (こんな娘が彼女だったらいいな) Rくんは、いつしかその女子大生に恋をするようになっていた。そして、彼女のことを考えると胸が締め付けられて苦しくなるのである。 (いつか、彼女に告白するぞ) そう心に誓うRくんであったが、その女子大生にも嫌なところがひとつだけあったという。 それは彼女がよく、幽霊の話をすることだった。 「このアパートには霊がいる」 「霊のたたりで、1階で死んだ人がいる」 「昨日金縛りに遭った」 廊下や階段での立ち話でも、必ずこういう話をするのだ。 (何で、この娘はこんな話ばっかりするのかな) 元来臆病な彼は、そういう話を聞くのもだめ。彼女の幽霊話にだけは閉口していた。 ある夜のこと。彼が寝ていると、何者かが布団の上に覆いかぶさった。 そして体重をかけ、首を締め付けてくる。 (彼女が言っていた「霊現象」って、このことか) 恐怖の中で、Rくんは、何者かの手を引き離し、体をはねのけ、電気をつけた。 すると、部屋の中は誰もいない。 乱れた布団のみがある。 (これはいったい何だ。俺の幻覚なのか。彼女が霊の話をするから、ついに本物の霊が出たのか) 不審に思った彼は大家さんのところに行き、この体験を話したところ、大家さんはこう言った。 「アパートには今、あなたしか住んでませんよ」 それ以来、彼は女子大生の姿を見ないそうだ。(監修:山口敏太郎事務所)
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