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イギリスの海岸に漂着する樹脂塊の謎(2)

 イギリスを始めとする北西ヨーロッパ諸国の海岸に、数年ほど前から怪しげなタブレット状のブロックが漂着していた。そのブロックはアカテツ科の樹木から採取、加工されるグッタペルカという樹脂製で、中央部に刻印されていた「Tjipetir」と読める文字などから、インドネシアのティペティールから積み出されていたことが判明した。しかし、謎の樹脂塊は形がしっかりしており、刻印もはっきり読み取れるような状態だったが、ティペティールがグッタペルカの積み出し拠点だったのは1920年代の終りまでで、最後に樹脂を送り出してから80年近く経っているというのだ。

 ティペティールのグッタペルカは、タイムスリップでもしたのだろうか?

 まず、グッタペルカは海底電線の皮膜に使われるほど耐水性が極めて高く、海中を80年以上ただよっていたとしても、ほとんど変質しない。また、イギリスはグッタペルカを独占的に買い付けており、ティペティールから積み出された樹脂も「ほぼすべて」がイギリス向けだったとされる。つまり、樹脂塊はイギリスの近海で発生した何らかの事情、恐らくは船舶の沈没や損傷によって、海中へこぼれ落ちた可能性が高いのだ。

 では、樹脂塊はいつ、どの船が運んでいたのか?

 まず、最初に候補としてあげられたのは、悲劇の豪華客船タイタニックだった。この説を唱えたのはフランスの新聞社とされるが、タイタニックの積み荷にはイギリスが独占していたグッタペルカも含まれており、沈没後に海中へこぼれ落ちた可能性があると指摘したのである。しかし、タイタニックの沈没位置はイギリスから離れすぎており、さらに積み込んだ量もさほど多くないことから、タイタニックに関しては根拠がいささか弱いとみなさざるをえない。

 では、グッタペルカを積んでイギリス近海に沈んだ船は、他に存在するのだろうか?

 意外なことに、それは日本郵船の宮崎丸だった。宮崎丸は第一次世界大戦中の1917年にイギリス海峡の西方海上でドイツ帝国海軍の潜水艦U-88から雷撃を受けて沈没し、乗客と乗員を合わせて8名の犠牲者を出している。そして、宮崎丸の積み荷は、まさしくティペティールからのグッタペルカであった。

 そして、宮崎丸には不吉な因縁があり、沈没後にも不名誉な騒動が待ち受けていた。

(続く)

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