ミステリー
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ミステリー 2010年08月26日 15時30分
「幽霊博物館」の怪異「亡女の片袖」伝説
大阪には、「幽霊博物館」なるものがある。 場所は、大阪市の東南部に位置する平野区の大念仏寺。平安時代に良忍上人によって開かれたお寺で、大阪府下最大の木造建築物であり、国の登録有形文化財である本堂を持つ、融通念仏宗の総本山である。 平野区界隈は旧平野郷と呼ばれる地域で、平安時代から荘園や綿花栽培で栄えた歴史ある町。戦時中に空襲を免れたこともあり、江戸時代以降の古い町並みと文化的遺産が多く残る町で、家庭や商店、地域に残る古い文化的資料を展示する「町ぐるみ博物館」と呼ばれる個人所蔵の資料館が点在する地域。 大念仏寺の「幽霊博物館」もその一つである。 ただし「幽霊博物館」の開館は、年に一度、8月の第4日曜日の一日だけ。 この日は、広い境内の一角にある「客殿 瑞祥閣」におどろおどろしい字で書かれた木製の「幽霊博物館」の看板が掛けられ、年に一度の一般公開となる寺宝を目当てに、いつもはあまり見られない夏休みの親子連れの姿も目立つようになる。 「幽霊博物館」の展示物は、寺宝である「亡女の片袖と香合」と、12点の幽霊画の掛け軸。 愛知県岡崎市の九品院や三重県津市の普門寺、福井県坂井市の瀧谷寺など、各地のお寺に数点の「幽霊の片袖」とその縁起が伝わっているが、一般公開をしているお寺はほとんどないので、実物を間近で見ることができる絶好の機会だ。 気温36度超えの残暑厳しい外の熱気と打って変わって、ひんやりとした冷気と線香の香りの漂う展示会場内には、壁面にずらりと幽霊画の掛け軸が掛けられ、まるで怨霊たちに取り囲まれて睨みつけられているような恐怖感すら感じる。 幽霊画の掛け軸は無銘ではあるが、いずれも江戸時代のものだそうで、どのような経路でこの寺に12枚もの幽霊画の掛け軸が集まったのかは不明とのことだが、「姑獲鳥(うぶめ)図」や「累(かさね)怨霊の図」「平知盛(たいらのとももり)亡霊図」など、歌舞伎や文楽、落語や怪談噺などとしても有名な怪談話をモチーフにしたものが多く、どれも掛け軸から抜け出てきそうなほどの恨みや無念さの表情をたたえた迫、真に迫る肉筆画ばかり。幽霊画に興味津々の小学生に、観覧者の高齢者が物語の解説をする一幕も見られ、世代間交流や伝説を後世に伝える役割も担っているようだ。 「亡女の片袖と香合」は、部屋の中央のガラスケースに入れられ展示されている。 深い海老茶色の絹地に、鶴亀や胡蝶などが丁寧に刺繍された片方だけの小袖と、直径4cmほどの丸い香合(お香を入れる小箱)、そして縁起の絵巻とともに解説が添えてある。 縁起絵巻と解説によれば、寺にはこのような伝説として残っている。 元和三(1617)年、六月三日のこと。観音巡礼の旅をしていた奥州出身の男が箱根権現参拝を終えて休憩をしていたところ、死装束をまとった女の幽霊が現れて、 「自分は、摂津国の住吉宮の神職をしている松太夫という男の妻である。旅の途中にこの谷で命を落とし、地獄に落ちて苦しんでいるので、摂津国にある大念佛寺というお寺で極楽往生への供養をしていただけるよう、夫に伝えてほしい」と言い、自分と会った証拠として小袖の片袖と香合を手渡して消えてしまった。 摂津国に向った巡礼の男は、松太夫を探し出して幽霊女の言葉を伝えて証拠の品を渡し、妻は大念仏寺で供養されて無事に極楽往生したという。 その後、その片袖と香合は供養のために大念仏寺に奉納され、現在に至るという。 一般公開は毎年8月の第4日曜日の一日だけなので、日程と時間を確認の上、幽霊の遺品をぜひ見ていただきたい。(「催旺風水」あーりん 山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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ミステリー 2010年08月20日 13時30分
怪談作家・呪淋陀(じゅりんだ)の「怪談:呪われた高校」
「昔は墓場だったんです…」 K子さんがかつて通っていた高校は、古い墓地を壊した後に建てられた。 そのような場所であるから、校庭を掘れば未だに人骨や墓片が出てきたり、さ迷う骸骨、飛び交う人魂、幽霊を見た…などなど奇妙な噂が絶えず、奇怪な現象は頻繁に起こっていた。 それは体育の時間だった。 「その日、体調の良くなかった私は、校庭の隅で体育の授業を見学していました。クラスの皆は軽く準備体操した後、ランニングを始めました」 K子さんは、校庭を走るクラスの皆を眺めていた。しばらくすると、その背後に小さなドッジボールぐらいの黒い塊が現われた。 「それが一体何なのかわからないんです。ただ、その黒い塊はモヤモヤしながらみるみる大きくなっていきました」 やがて肥大した黒い塊は、巨大なナメクジのような姿になり、大きな口を開けて、走る生徒一団を飲みこもうとした。 危機を感じたK子さんが皆に向かって逃げるように叫んだ。すると走っていた生徒たちも、背後に迫る不気味な黒い塊の存在に気付き、驚いて悲鳴をあげて一斉に逃げた。 しばらくの間、その黒い塊はアメーバのようにぐにゃぐにゃと変形運動を繰り返しながら校庭を這いずり回っていた。その様子をクラスの皆で驚きながら見ていたという。 「でも、不思議なことに、先生にだけは何も見えなかったらしいんです。それからも生徒たちの間では不思議な現象が起きましたが、私たちがいくら騒いでも学校側は取り合ってはくれませんでした」 だが。ある日ついに事件は起こってしまった。 「生徒が二階の窓から転落したんです。窓の外から何者かの手が伸びてきて、廊下を歩いている生徒の腕を引っ張ったんです。現場に居合わせた生徒がその手を目撃していました。幸いにも、下には工事中の盛り土があったため、落ちた生徒にケガはなかったんですけれど…」 学校側と保護者、さすがにこのままではいけないということになった。 「公立高校なので宗教色が強いものは本当はよくないんですが、学内に鳥居を建てました」 すると不思議なことに、怪奇現象はぴたりと止まったという。(怪談作家 呪淋陀(じゅりんだ)山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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ミステリー 2010年08月18日 15時30分
難破を繰り返す真意とは?
奇跡というのは、幾重にも偶然が重なっただけのことなのか。何か得体の知れない意志が働いているのだろうか。イギリスにある世界最大の保険会社ロイズと、オーストラリア海運局に奇跡の記録が残されている。 1829年10月16日。イギリスの帆船マーメイド号は同国ラッフルズ港を目指し、オーストラリアのシドニー港を発った。ところが4日目。トレス海峡で不意に襲った大波で座礁、大破した。幸い、海に投げ出された全乗組員達は近くの岩場に泳ぎ着いたが、そこで数日、疲労を溜めていくことになる。しかし、一つ目の奇跡が起きる。小帆船スィフトシュア号に救助されたのだ。ところが24日。小型の帆船スィフトシュア号は、強い海流に呑み込まれ浅瀬に座礁した。2隻の乗組員は、泳ぎ着いた近くの海岸で3時間後に、ガバナー・レディ号に救助されたが、火災が発生。積荷が材木だったことが災いし、あっという間に火は燃え広がった。3隻の乗組員は救命ボートで脱出、漂流した後、オーストラリア政府のカッター船コメット号に救助された。が、次は嵐に遭遇。オーストラリア政府の船とはいえ、小帆船のコメット号は転覆。救命具すら間に合わなかったが、浮揚材等につかまり全員嵐を乗り切った。しかし、次に救助された郵便船ジュピター号もまた、浅瀬に座礁。損傷の大きかった船を捨て、泳ぎ着いた近くの岩礁で救助を待った。 ここまで、5隻の乗組員は百数十名に膨れ上がっていたが、小さな怪我のみで全員無事だった。そして、最後の救助船になるイギリスの客船シティ・オブ・リース号では、これまでの奇跡を総括するような奇跡が待っていた。 度重なる遭難に疲労困ぱいの彼らに、シティ・オブ・リース号のトーマス・スパークス船医が、イギリスのヨークシャー出身者を探していた。乗客のヨークシャー出身の婦人が、回復不能の重病に陥り、幼い頃に生き別れた息子の名前をうわごとのように呼び続けており、息子の振りをしてくれる者を探していたのだ。すると一人が名乗りをあげた。彼は最初の帆船マーメイド号の乗組員で、ヨークシャーの婦人と同じホイットビー出身で、言葉だけでなく故郷の様子も違和感なく話せそうだ。身代わりを承諾した彼は、スパークス医師に息子の名前をたずね、その返答に絶句した。「ピーター・リチャードソン」スパークス医師が告げたその名前は、彼自身の名前だった。彼こそが、婦人の生き別れた息子だった。 五度の奇跡を経て再会できた親子。婦人は喜びからか回復し、全乗組員とその後、順調に航行を続けたシティ・オブ・リース号で帰港を果たした。七海かりん(山口敏太郎事務所)山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/
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ミステリー 2010年08月16日 15時00分
洋服ダンスを抜けると…
イギリスやフランス辺りのお城のような邸宅を訪ねた子供が、かくれんぼか何かで洋服ダンスを開くと、中にはおとぎの国が広がっていて…。そんなファンタジーがあったような。7歳のイギリス人少女キャロン・ウォールが洋服ダンスに見た世界は、ファンタジーのかけらも無く、呆れるほど現実的だった。 1967年8月21日。イギリスのドーセットシャーのウォール家では、一人娘キャロンの7歳の誕生日パーティーが開かれていた。主役のキャロンは嬉しくてしょうがない。そこへ、母親からフランス人形とパールの指輪をプレゼントされたものだから、キャロンのはしゃぎようは最高潮に達し、テーブルに置いてあったぶどう酒の入ったグラスをひっくり返してしまった。グラスから飛び出したぶどう酒は、キャロンが着ていた白いレースのドレスを赤く汚してしまった。汚れたドレスを着がえようとキャロンが洋服ダンスを開いた時、その場にいた人たちは驚愕の声を上げた。洋服ダンスの中には、あるべきはずの服は無く、代わりに古びたビルの光景があった。そして、全員が注目する中、キャロンは洋服ダンスの中へと引き込まれるように消えてしまった。 一方、北大西洋を隔てたカナダのトロントではこの日、古くなったビルを解体するため、作業員たちがある現場に来ていた。そして、ビルの一室のドアを開くと同時に少女が飛び出してきた。既に使われなくなったビルである。迷子か行方不明、否、事件かもしれない。作業員達は警察に連絡した。警察が少女に身元を尋ねたところ、名前はキャロン・ウォール、イギリスのドーセットシャー在住とわかった。すぐさま国際電話でウォール家に問い合わせると、少女がフランス人形とパールの指輪を持っていて、ぶどう酒で赤く汚れた白いレースのドレスを着ていたことから、イギリスで洋服ダンスの中へと消えてしまった、キャロン・ウォール本人と確認された。 事件はイギリスのBBCテレビで放送され大反響を巻き起こした。七海かりん(山口敏太郎事務所)山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/
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ミステリー 2010年08月10日 17時00分
怪談作家・呪淋陀(じゅりんだ)の「怪談:恐怖物件『死の家』」
「私がまだ新人の頃でした」 不動産会社勤務のR氏は、過去に体験した奇妙な出来事を話し始めた。 「ある一軒家に入居した男性がいました。毎日、その彼から電話がかかってきたんです」 彼曰く、毎晩、若い女の幽霊が出てくる。そして、なぜか女は怒りに満ちた顔をしており、凄い金縛りで身動きが取れず、うなされるらしい。 「その家に住みだしてから頭痛がすると訴えていました。でも、私は彼の話が信じられなかったので真剣に取り合いませんでした。幽霊なんているわけがないと笑いながら話していましたから…」 だが。その数日後、彼が部屋で一人亡くなっているのが発見された。連絡が取れなくなったので、心配した彼の肉親が見に行ったら死んでいたという。 死因は脳溢血だった。まだ20代と若かった。 「その時ばかりは本当にぞっとしました。後から聞いた話なんですが、その物件に住んだ人は必ず、ほどなくして病気で死ぬんです。実は、その前に住んでいた年寄りの男性は、脳梗塞で倒れて入院先で亡くなりました。その前の人も、そのまた前の人も…。なぜか、死因は全て脳溢血とか脳血栓とか、頭に関する病気でした」 R氏は青ざめた顔で語った。偶然にしては恐ろしい一致だ。住人が次々と死んでいく死の家。 謎に満ちた不可思議な物件はまだまだたくさんある。今後も紹介していきたい。(怪談作家 呪淋陀(じゅりんだ)山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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ミステリー 2010年08月07日 13時00分
夏のお化け屋敷が怖く感じる訳とは
今の季節に遊園地に行くと、人気のあるアトラクションの定番はお化け屋敷だと思います。更に、夏のお化け屋敷が特別怖く感じる理由があります。それは、お化け屋敷の内部が冷房で非常に冷えているだけではありません。その理由としまして、お化け屋敷には大勢の霊魂が入り込んでいるからです。 それらの霊魂は、お化け屋敷の中に置かれている恐怖の形相をした人形達に入り込んでいると思われます。 お化け屋敷ではないのですが、東京タワーには蝋人形館があります。私が良く行っていた頃は、中に怪奇映画の主人公を展示するコーナーがありました。狼男やドラキュラ、フランケンシュタインのリアルな造形は、見ているだけで恐怖を覚えるものでした。 その中に中世ヨーロッパの拷問風景を展示しておりました。男性が絶えず大量の水を飲ませられ続ける水の刑や、水車に身体を縛られて回転をすると、下には尖った刃物が無数に置かれて罪人の身体を傷だらけにする様子なども展示されていました。その角には実際に拷問道具として使用された小さな檻が無造作に置かれていたものです。 ある時から、東京タワーの蝋人形館には幽霊が出るという噂が立ちました。写真を撮ると心霊写真が撮れるという噂や、更には蝋人形館で幽霊を見掛けたという話もありました。私の判断ですが、あの中にある拷問の風景の前を通ると、特に背筋に寒いものがゾクゾクと走った経験がありました。 私にはあの中の数体に、霊魂が入り込んでいるように見えてなりませんでした。霊魂は自分が死んだときの風貌と、似た人形に入り込むことを好むと聞いたことがあります。ですから、お化け屋敷の人形にも、当然人形の風貌に似た霊魂が入り込んでいる可能性が高いと思われます。 今の季節がお化け屋敷の最盛期です。皆さんも是非、その怖さを体感されてはいかがでしょうか。(藤原真)
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ミステリー 2010年08月06日 11時30分
愛知県西三河地方の怪異「船着場の怪」
江戸時代、長野県から愛知県を流れる矢作川は物資交流の大動脈となっていた。現在の豊田市扶桑町の辺りが舟運の終着地で、ここからは馬で物資が運ばれていた。江戸時代の頃の矢作川は水量も豊富で、流れも急流であったため、水難事故も多かった。 昔、矢作川に近い扶桑町には大きな船着場があった。真夜中のこと、ある船頭が材木筏(いかだ)を漕いでいると、船着場の辺りを通過した時、不気味な泣き声がした。声の主は分からないが「助けてくれ」と言っていた。仲間の老船頭が言うには、「それは川坊主だ」という。川坊主は仁王像ぐらいある化物だといわれていた。 また、船着場の辺りは大きな渦がたくさんあり、水死者や行方不明者が続発していた。つい最近も親子が流されて、死体も上がらなかった。このように水難事故で亡くなった者たちの救いを求める声だという噂も流れた。 ある若者が川坊主の正体を確かめようと、夜中に筏を漕いでみた。すると、船着場の辺りでガガーッと川坊主が現れ、「助けてくれ。助けてくれ」と不気味な声が聞こえてきた。若者は急流の中でジッと我慢するしかなかった。船着場を通過すると、川坊主も不気味な声も消えていた。若者は命からがらに家に逃げ帰ったという。それ以来、誰も夜、筏を漕ぐ者はいなくなった。 ある日のこと、船着場の主人の夢の中で、「お地蔵様を建てて、お参りしなさい」というお告げがあった。早速、主人は船着場の見える辺りにお地蔵様を建てて、毎日お参りするようにした。それ以来、川坊主も現れなくなり、「助けてくれ。助けてくれ」という不気味な声も聞こえなくなったという。(写真:「矢作川」愛知県豊田市)(「三州(さんず)の河の住人」皆月斜 山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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ミステリー 2010年08月05日 18時00分
怪談作家・呪淋陀(じゅりんだ)の「怪談:恐怖の自殺物件」
「事故物件ありますか…?」 私が部屋を探していた時のこと。事故物件とは本当に存在するものなのかと、不動産業者に聞いてみた。 事故物件とは、以前に自殺や殺人、火災による死亡事故などの嫌悪すべき歴史的事実があったもの。基本的には、重要事項の説明義務の対象となり、取引価格が低くなるケースもある。 たいがいは扱っていないというような返事だったが、そこの不動産業者は、意外にもすんなりとある物件を提示してくれた。そのマンションは、駅から少々離れているものの、部屋が三つもあり新築だった。 他の部屋の家賃相場が10万円代だったのに対し、そこの二階の角部屋だけ、なぜか5万円と凄く安かった。 以前住んでいた男性がその部屋で病死したらしい。人が死んだということを除けば、まったく申し分ない物件だった。 一通り説明が終わり、不動産業者が席を外した時。机の上に置かれているその物件の資料ファイルが何となく気になった。中を取り出してよく見てみると、なぜか入っている書類の下から、部屋の間取り図が出てきた。 何とそこには、玄関の箇所に印がしてあり「玄関・自殺」と赤鉛筆ではっきりと書き込まれていた。 説明では病死だったはずだが…。やはり自殺とは言い辛いものなのだろうか? 「ほら、そこのマンションなんですが…」 不動産会社勤務のK氏は、この道20年のベテランだ。車で物件案内してもらっている時のことだった。 K氏は、車窓から見える少々古めかしい高層マンションを指し示した。 「あのマンションにアクセサリーデザインをしている男性が住んでいるんです。彼は職業柄、部屋に篭って作業することが多いので、家にいると変な物音や人の気配がするとかは日常茶飯事だったみたいです。窓から時々幽霊が覗くとかも言ってましたね。でも、強い方なのか、平気で暮らしていたんですよ」 ある日、彼は部屋で一人作業をしていた。 突然、「ぎえあぁぁ〜」と、凄い悲鳴と共に鈍い大きな音がした。 驚いてベランダに飛び出し階下を見た。すると、何とそこには飛び降り自殺の惨たらしい死体があった。 「彼は第1発見者だったので、警察の検証に立ち会ったりと大変だったみたいです。気の毒に随分ショックを受けたらしく、最近、自殺者の幽霊が現われるようになったと言ってましたね。とにかく一刻も早くあのマンションを出たいと言っているので、この後に彼の相談に乗るんですが…」 自殺者の断末魔の叫びと地面に激突する音、血だまりの中に飛び散る脳髄…それら全てがフラッシュバックとなって、彼を苦しめ続けているのだった。 そのマンションは以前から飛び降り自殺が多く、それも住人ではなく、なぜか余所からわざわざやって来ては身を投げるのだという。 飛び降り自殺は、落ちる瞬間に後悔するという。落ちている間、まるでスローモーションのように時は流れる。落下する恐怖をゆっくり味わいながら、地面に激突して自身の身が砕け飛び散る苦痛を味わう。だが、自分が死んだということはわからない。飛び降りた時の恐怖と苦痛だけが、死後も繰り返し襲って来ると聞いたことがある…。 自殺者のネガティブな思いや生への執着が残留思念となり、負の連鎖となって更なる悲劇を生むのかもしれない。(怪談作家 呪淋陀(じゅりんだ)山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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ミステリー 2010年08月02日 17時00分
怪談作家・呪淋陀(じゅりんだ)の「怪談:マスク」
T君が小学校3年生の頃だったという。 町内会のお祭りでお化け屋敷をすることになり、T君は小道具の係に選ばれてしまった。 T君はさて、どんな物を作ろうかと悩みながら歩いていると、ちょうど公園の前を通りかかった。 ゴミ捨て場にデパートの紙袋がぽつんと置かれていた。なぜか気になったT君が紙袋を覗いてみると、驚いたことに、中にはフランケンシュタインのゴム製のマスクが入っていた。パーティーなどに使う仮装用のものなのだろう。頭にはナイロンの髪が貼りつき、顔面に斜めに走る縫い傷、首からはネジが突き出て、口からは赤い血が滴り落ちていた。凄くリアルだった。これを被って脅かせば、きっと皆とても驚くだろう。さっそくT君は喜んでマスクを持ち帰った。 その日は、ちょうどT君の家に、近所の友達がお化け屋敷の準備で集まっていた。皆でお菓子を食べながら、衣装を縫ったり、お化けの面や段ボールでお墓などを作っていた。 しばらくするとどこからともなく、 「おぉ〜い、おぉ〜い」 という男の低い声がした。最初は外で酔っ払いが叫んでいるのかと思ったが、どうも外から聞こえてきている感じではなかった。そのうち、声は段々と近くなり、やがて隣の部屋から聞こえてきた。T君は思い切って友達といっしょに隣の部屋の襖を開けた。しかしその途端、声はぱたりとやんだ。部屋の中にはフランケンシュタインのマスクが入った紙袋があったが、特に変わったこともなかった。 やがて友達は帰った。T君は一人で後片付けをしていた。 「ガサリ…」 隣の部屋で物音がした。T君は襖を開けた。 マスクが入っている紙袋が倒れ、中からはみ出たフランケンシュタインの顔がこっちを向いてた。 一瞬、マスクに生々しい眼球が現われ、ぎょろっと動いた。 T君はすぐに、元のあった場所に戻してきたという。(怪談作家 呪淋陀(じゅりんだ)山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou
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ミステリー 2010年07月30日 13時30分
64年後の蘇生
葬式。祭壇の棺を見つめる参列者たち。親しくしていた人たちの心に去来する思い出が、寂しさを一層強くする。その時、棺が微かな音を立てた。まさか。そう思う間もなく、棺がカタンと揺れると同時に、死んだはずの故人がムックリ起き上がった。 この手の話は、現実に幾つも起きている。最近では葬儀のあり方も多様化し、息を吹き返した場所が葬儀場である保証は無い。もし、そこがバミューダ海域だったら? 死人が生き返る。それだけでも奇妙な出来事なのに、更に、奇妙な事態となるようだ。 1990年2月。操業中の一隻の漁船の元に、白く大きな布袋が流されてきた。引き上げて開けてみると、中から60歳過ぎくらいのやつれた男性の死体が出てきた。船員たちの好奇心が悲痛な感情へと転換した、その時、死体だと思っていた男性が叫んだ。「ここは、どこだ!?」目まぐるしく変化する感情。今度は驚愕する船員たちが聞いた事情とは。 男性の名はミッシェル・ガヤン。フランスからバミューダへ移住してきた。しかし、がんに侵された彼は、1926年、水葬にして欲しいとの遺言を残し、63歳で死んだというもの。 船員達はそんな話を信じられるはずもなく、どれくらいの時間かはわからないが、袋詰めで海を漂流していたのだ。精神に異常をきたしてしまっていても不思議はない。衰弱しているだろうし、健康状態も診て貰った方がいいと、病院へ連れて行った。そこは彼が最後の時を迎えた病院だった。病院には彼のカルテが残っていて、1926年にがんで死亡したという記録があり、遺体は遺言通り布でくるみ海へ流したことも確認された。更に、死亡証明書の指紋との照合も一致し、間違いなく同一人物とされた。 先述したように、葬儀中に死人が生き返ったという事象は起きている。ミッシェル・ガヤンは遺言通り水葬にされたため、海で息を吹き返してしまった。しかし稀に起き得る事象として片付けられないのは、それが64年後に起きたということだ。それだけではない。生き返ったミッシェル・ガヤンは、本来なら127歳であるはずが、死亡したとされる63歳のままなのだ。彼の身に何が起こったのかはわからない。そこがバミューダ海域であることに意味があるのだろうか。七海かりん(山口敏太郎事務所)山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/
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