>>全ての画像を見る<<
105人の座員から獲得票順でスペシャル新喜劇出演者30人を決める同公演だが、アキは約77万票の中から3万9405票を獲得して1位に。本公演では中心的な立ち位置で舞台を引っ張る。2位には辻本茂雄、3位にはすっちー、4位には内場勝則が入るなど、新喜劇の人気者たちが上位を占める中、2位に4千票以上の差をつけてトップを守ったアキに本公演の見どころなどを聞いてきた。
ーー今回の舞台について教えてください。
アキ:新喜劇のお祭りのような舞台です。お客さんには、1位が僕だろうが、30位の人であろうが関係なく、楽しい空気やな、面白いなって、全体を見て楽しんでもらえればうれしいです。
ーー辻本さんやすっちーさんよりも得票が上でしたが、この快挙についてはどのように分析されていますか?
アキ:結果が出るまでは想像がつかなかったです(笑)。でも、日にちを重ねていくうちに、いろんな人のアンケートを見たり、コメントを読んだりする機会があって、それを分析すると、僕に投票してくれたのは40代、50代の女性の方が圧倒的に多いことが分かったんです。
ーーアキさんは若い頃は結構女性に人気が高いイメージでしたから、女性票が多いのは納得です。
アキ:水玉れっぷう隊時代の、2丁目劇場時代のファンの方が投票してくれていたりするんです。ありがたいことに20年、30年と追っかけをしてくれる人がいたり、当時、中学生、高校生の時やった人がお母さんになっても変わらず応援してくれていたり……。東京は東京で10年以上やらせてもらっていて、コツコツ舞台を重ねていたので、そういうこともいろいろな要因となってこの結果になったのかなって分析しています。
ーー水玉れっぷう隊でのアキさんと新喜劇のアキさんとでは、少し笑いのテイストは変わったかなと思うところがあるのですが。
アキ:別人です(笑)。自分でも何がほんまか分からなくなるくらい。
ーー客層も変わりますものね。
アキ:新喜劇に入ってからは4歳、5歳くらいの子どもから、ご年配のおばあちゃんとか、いろんな人たちに向けたお笑いをしなくてはいけないので、水玉れっぷう隊の時の「とにかく新しいもの」「見たことないもの」っていう笑いの作り方とは全く違った笑いの作り方に取り組んでいる感じなんです。根本的な考え方から変わりました。
ーー新喜劇は舞台の中でどうあるかっていう世界ですし、確かに笑いの取り方も水玉れっぷう隊時代とは違ったものを意識していかなければいけないんでしょうね。
アキ:2人でやっていたものがチームになったし、(水玉れっぷう隊のステージとは)全然違うジャンルとしてやっているんで。でも、水玉れっぷう隊の時のような「とにかく新しいもの」をっていう精神は今もちゃんと生きています。新喜劇に過去ないようなものをやろうとするところがあるんです。
ーー新喜劇を最初にやるとなった時に、過去の新喜劇のスタイルから受けた影響などはあるんですか。
アキ:吉本新喜劇の過去の膨大な台本が吉本の中に保管されていて、僕もそれを読むことができるんです。そういうものに目を通して、これだけの話がある中で何が今残っているんだろうって考えた時に、台本も大事なんですけど、やっぱり「ごめんくさい!」とか、新喜劇らしい分かりやすいギャグが、時代を超えて愛されていることに気付くんです。そういうものを自分たちも継承していかないと、という気持ち、思いはあります。こんないい話があったというのではなく、レジェンドたちの残したギャグの方が50年、60年と残っていくんです。吉本新喜劇は色鉛筆みたいなものだと思っています。辻本さんの色があったり、すっちーの色があったり。その中に僕の色があって、それをどうしていこうかってやっています。
ーー新喜劇をやる中で、間寛平さんやベテランの方が、アキさんに対してダメ出しをすることはあるんですか?
アキ:僕の場合はダメ出しをされるとかはあんまりないです。ありがたいことに、ずっと自由にさせてもらっている印象です。僕は元々、一発ギャグとか、インパクトのあるギャグで笑いを取るという感じでやってきたわけではないので、「アキは結構自由にやった方が」って思ってもらっているかもしれないです。
ーー子どもたちを相手に笑いを取ることも多くなったと思うのですが、笑いのジェネレーションギャップを感じることはありますか?
アキ:いや、そこはそんなに昔も今も変わらないです。幕が開けば子どもたちはもう関係ないですよ。営業で、私立の学校や公立の学校とかに行って公演をしたり、子どもと触れ合う機会があるのですが、裕福な地域やそうでない地域、いろんな地域に行くんです。でも、どこでやっても、子どもたちは笑いに対して素直です。地域差とか、裕福であるとか、そういうのも関係ない。やるとみんなどこへ行ってもわっと同じように沸いてくれる。感動しますよ。
ーー関西を中心にご活躍中ですが、東京で新喜劇を通じた活動をしていこうみたいなビジョンはお持ちなんですか?
アキ:吉本の中で以前から、新喜劇をもっと全国区にしたいという動きがあるんですけど、ことごとく広がっていかないんです。西と東の笑いは別なんでしょうね。僕は東京でも10年活動していた時期があるんです。東京での活動経験は豊富なんですが、大阪の新喜劇をそのまま東京でやっても今までのようにうまくいかないと思います。東京の人は、コテコテの大阪を求めて楽しいっていう人もいるでしょうけど、基本は上品だし、いろんなエンタメを見て、笑いに対して洗練もされている。東京でやる時はそこを考えて新喜劇も作らないといけないなと思います。
ーー東京での新喜劇の活動をもっと広めていくためにアキさんの経験が役に立つかもしれないですね。
アキ:華やかでおしゃれなエンタメは、東に行けば行くほど必要になると思っています。お笑いの周波数やスピード、ボケのテイストも違うわけです。東京で新喜劇をやるならどうするかを考えるのが夢でもあります。過去に僕のアイデアで東京で新喜劇をやらせてもらったこともあったんです。その時に手応えも感じました。あ、見てもらえてるって。これはいけるって僕の中で感じれるところがあったんです。今後は新喜劇をもっと知ってもらうためにいろんなアイデアを試していこうと思います。
(取材・文:名鹿祥史)
吉本新喜劇まつり2022~選ばれし30名の座員たち~
【特別公演】2022年10月10日(月) 18:45開場 19:15開演 ※チケット完売
【オンライン公演】2022年10月10日(月) 19:15~22:00
出 演
アキ、辻本茂雄、すっちー、内場勝則、小寺真理、島田珠代、山田花子、酒井藍、間寛平、千葉公平、未知やすえ、五十嵐サキ、川畑泰史、森田展義、
鮫島幸恵、吉田裕、浅香あき恵、烏川耕一、太田芳伸、松浦景子、森田まりこ、高橋靖子、池乃めだか、安尾信乃助、宇都宮まき、清水けんじ、佐藤太一郎、谷川友梨、曽麻綾、松浦真也、ほか(※吉本新喜劇座員総選挙 1位〜30位 当選順)