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秋場所の裏で2大関のフシギ なぜ引退しない!?

 大相撲秋場所(東京・両国国技館)は朝青龍と白鵬の両横綱がV争いを展開しているが、その裏で千代大海、魁皇の両大関が“引退しても不思議じゃない”立場にいながら、ナゼか現役にこだわり続けている。一体そのウラに何が隠されているのか。徹底追跡する。

◎千代大海
 このこだわりの裏にあるのは何なのか。
 22日の秋場所10日目、大関千代大海がやはり元気のない平幕の玉乃島に一方的に押し出されて8個目の黒星を喫し、負け越しが決定。翌11日目から休場した。
 今年に入って、先場所までの4場所中3場所が8勝7敗。残る1場所(春場所)は2勝13敗と皆勤大関のワースト記録を作って13度目のかど番を記録した。春場所後の横審では「大関の権威にもかかわるので、たとえば5回で降格するとか、かど番の制限を設けるべき」という論議を巻き起こしている。
 その非難の嵐を浴びた13度目のかど番も千秋楽に勝ち越すのがやっと。もはや大関の座を保つだけの力がなくなってきているのはハッキリしている。
 早々と負け越しが決定したとき、もはやここまで、と誰もが思ったはずだ。ところが、千代大海が選択したのは意外にも休場だった。今年夏場所のかど番のとき以上に力は落ち、批判を浴びるのも分かっているのに、なぜ引退を決断しなかったのか。
 その理由について、千代大海は「体の悪いところと付き合いながら土俵に上がってきたけど、力が出ないというか、出せない。大関らしい相撲が取れないので、師匠と話し合い、今日負けたら休場すると決めていた」と話し、次の九州場所で再起を期すつもりか? という問いには「今は何とも言えない。親方と相談して…」と言葉を濁した。つまり、再起できる自信がないのだ。

 すでに千代大海の大関在位は史上最多の64場所を数え、功成り名遂げた身と言っていい。にもかかわらず、勇退できないのはなぜか。協会関係者は、裏事情を次のように明かす。
 「来年1月の初場所後に役員改選がある。去年、高砂部屋所属の5人の親方が高砂親方(元大関朝潮)から九重親方(元横綱千代の富士)に寝返ったため、ようやく理事に当選した九重親方にとって、千代大海が持つ現役票(上位4人に与えられる投票権のこと)は何がなんでも手放せない票なんです。もしここで千代大海が引退し、1票減ったとなると、高砂親方が息を吹き返したり、虎視眈々(こしたんたん)の八角親方(元横綱北勝海)に取って代わられる恐れがありますから。九重親方はギリギリ来年の初場所後まで千代大海の引退を引っ張るつもりです」
 それを裏付けるように九重親方はまな弟子の休場にこうコメントしている。
 「なぜ、辞める必要があるんだ。たとえ次がダメでも(大関から落ちても)、次の次(初場所)で10勝すれば(大関に)復帰できる。今、辞めることはない」
 辞めたくても辞められない千代大海に大相撲界の同情が集まっている。

◎魁皇
 これってホントに大記録なのか。今場所で大関魁皇は幕内在位数が97場所となり、ついに高見山(元関脇)の持つ史上最多記録と肩を並べた。この記録が確定した先月末の番付発表の日、魁皇は記者会見に応じて「幕内に上がるだけでも大変な世界なのに、ここまで長くやれて特別な思いがある」と熱い口調で語った。
 高見山と違ってこの半分以上の55場所が大関だけに、魁皇が胸を張りたくなる気持ちも分からないではないが、大相撲関係者の間では「値打ちは高見山以下」と厳しい評価を下す声が多い。
 その根拠となるのが大関特権の「2場所連続して負け越さないと陥落しない」というかど番制と、2003(平成15)年限りで撤廃された公傷制だ。魁皇はこのかど番を12度、土俵上のケガで休場しても番付が下がらなかった公傷制度の適用も1度受けている。つまり、13度も救済されているのだ。
 かたや、高見山は負け越せばストレートに番付が下がる関脇以下。毎場所、逃げ場のない真剣勝負をしていたわけで、番付は下位でもその苛酷さは比較にならない。
 どうして魁皇は頑張れば頑張るほど自分の評価は下がり、プラス面はほとんどないのに、こんなに現役にこだわるのか。一門の関係者は次のように明かす。
 「次の九州場所前には『怪力』というタイトルの初の自伝が発売され、サイン会なども予定されているし、九州場所後には出身地の直方市で巡業もある。師匠の友綱親方は早く現役に区切りをつけ、親方として次のステップに進んでほしいと言っていますが、なかなか区切りをつけられないようです」

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