前日まで「6勝3敗」の貴景勝はこの日、「5勝4敗」の平幕・宇良と対戦。立ち合い強く踏み込んだ貴景勝は一気に宇良を土俵際へ追い込んだが、宇良も土俵外へ飛び出ながらいなしを狙い、両者は同時に土俵外へ。行司軍配は宇良に上がったが、物言い・協議の結果同体取り直しとなった。
迎えた取り直しの一番、宇良は立ち合いで右足を踏み出し頭から当たりに行った。一方、貴景勝は突っ込んできた宇良の両手を頭で押さえると、わずかに後方に下がりながらはたき込みを繰り出し、宇良はほとんど何もできないまま地面へ転がされた。取組時間わずか1秒ほどの決着に、場内からは「あ~」というような声も上がっていたが、貴景勝は特に顔色は変えずに取組後の一礼を行った。
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この貴景勝の相撲を受け、ネット上には「大関なのに相撲が逃げ腰過ぎてガッカリ」、「取り直しのせいか知らないけど消極的すぎるだろ」、「格下をいなすような相撲なんて一体誰が見たいのか」、「現地客も失望してため息ついてるじゃないか」といった批判が上がった。
一方、中には「今日の貴景勝が叩かれるのは納得いかない」、「あからさまに変化したわけでもないのに何が不満なんだ」、「宇良が頭低く下げ過ぎて墓穴掘っただけだろ」、「相手の圧力を利用するのも相撲の技術では?」といった批判への苦言も見られた。
「取り直しの一番の内容が物議を醸している今回の対戦ですが、取り直し判定自体にも疑問の声が寄せられています。貴景勝は宇良を土俵外へ出そうとする際に飛びながらの叩きを食らい地面へ落ちましたが、リプレーでは貴景勝が地面へ落ちる前に宇良は空中で両足の甲が返った状態、いわゆる死に体となっていたようにも見えました。審判団は同時という判断を下しましたが、ファンの間では宇良の体が先に飛んでおり貴景勝勝利が妥当だったのではという見方もされています」(相撲ライター)
取組後に応じた取材では「あまり覚えていない。負けはないと思った」と淡々と振り返ったという貴景勝。物議を醸した一番を制したことで勝ち越し、カド番脱出へリーチをかけている。
文 / 柴田雅人