9月8日のIOC総会で、20年東京五輪で実施する最後の1枠をめぐって投票が行われた。勝ち抜いたのは、2月のIOC理事会で除外候補となったレスリングで、過半数(48票)を超える49票を獲得し、五輪残留を決めた。落選した野球&ソフトボールは24票、スカッシュは22票だった。
復活を期した野球&ソフトボール、新規採用を目指したスカッシュ関係者は落胆するかぎりだが、野球&ソフトボールには、20年東京五輪での実施に、わずかながら可能性が残されているというのだ。
ポイントとなるのが、10日に行われるIOC新会長を決める選挙だ。本命とみられているのは、ドイツ人のトーマス・バッハ氏で、バッハ氏が新会長に就任した場合、風向きが変わる可能性がある。
現会長のジャック・ロゲ氏は夏季五輪の肥大化を防ぎ、コンパクトな五輪開催を目指し、28競技の上限に厳格だった。12年ロンドン五輪から、野球とソフトボールを除外する方向にもって行ったのは、ほかならぬロゲ氏。
一方、バッハ氏は競技数の増加に寛容といわれており、バッハ氏が新会長に就いて、他のIOC委員が追随すれば、20年東京五輪での実施競技が増えるかもしれないのだ。
野球といえば、日本では国民的スポーツ。開催地で最も人気がある競技が加われば、東京五輪がさらに盛り上がることは必至。
ただし、現在の五輪憲章では「競技数は28を超えない」と明記されており、実施競技数を増やすためには五輪憲章の改正が必要。そのためには、IOC委員の投票総数の3分の2以上の賛成が必要で、その難関を突破しなければならない。
新会長次第で、野球&ソフトボールの東京五輪での実施に、いちるの望みが残っている。最悪、「公開競技」という奥の手もある。日本にとって、いい風向きに向かうことを願うばかりである。
(落合一郎)