2007年の初代iPhone発売以降、新機能を続々と追加しガジェットの中心を担うまでの存在となったiPhoneシリーズだが、そのシステムの原型はApple社設立以前にもあったとされる。
今回、ご紹介する写真は1939年に某科学雑誌に掲載されたロボット「ラジオマン」の写真である。正式には「ラジオロボットMk 2」といい、いくつかの試作機が作られていたとされる。
身長は7フィート(約2メートル)で人間の言葉を理解する音声認識機能を持ち電波コントロールで動かすことが可能だという。iPhoneでいえばSiriのような機能を持っていたのではないかと推測される。「ラジオマン」の名称通りこのロボットの売りは歌を歌うことでスイス製らしく「ヨーデル」を奏でることができるという。耳の中に仕込まれた音声認識機能がどこまでの言葉を理解していたのかは不明だが、1939年当時に「AIBO」のようなロボットが誕生していたというのは非常に興味深い事実だ。
また、有線ではなく電波でコントロールできたというのも画期的で「鉄人28号」のようなコントロールできるロボットはすでに戦前に生まれていたとされる。もっとも、このラジオマンは科学雑誌に掲載後、特に続報はないため完成しなかったという説もあり、また「ものを考える」という意味でのロボットは日本で作られた「學天則」の1928年のほうが10年も早く、ロボット研究としては少し出遅れている感は否めない。
果たして歌うロボット「ラジオマン」はこの世に生まれてきたのだろうか。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所