海外で4月に、俳優のラッセル・クロウが2016年に91歳で亡くなったローマ法王庁公認エクソシスト、ガブリエレ・アモルト神父を演じた「法王のエクソシスト(原題・The Pope's Exorcist)」が公開された。
それもあってか、実在するエクソシストの活動にも注目が集まっているようだ。
前述のガブリエレ・アモルト神父しかり、エクソシストとして実際に悪魔ばらいの現場に携わっていた人々からは、驚くべき証言が寄せられている。
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アメリカのダニエル・リーヒル牧師もその一人だ。彼は聖職者としては異色の経歴を持つ人物で、過去にはアメリカン・エキスプレスやシティコープなどに勤務し、金融業界で財を成した。
しかし1998年にボスニア・ヘルツェゴビナのメジュゴリエ村に巡礼した際に価値観が一変し、20年間信仰を忘れていた罪を告白。
その後の人生を神と人助けにささげようと決心し、ネブラスカ州オマハの教会で聖職者となり、悪魔ばらいを行うようになった。
リーヒル牧師の悪魔ばらいの現場もなかなか壮絶で、ある小柄な修道女が悪魔に取りつかれた際は「彼女を押さえつけるのに、大柄な成人男性6人が必要だった」と述べる。
さらにこの女性は「まるでリスのように、高い壁を約6メートルも素手でよじ上った」そう。この様子は多くの人が目撃していた。この女性から悪魔をはらうのに1年以上の期間を要したという。
悪魔ばらいのプロセスは人にもよるが、リーヒル牧師は「彼女は赤ん坊のころ、悪魔的な儀式による虐待を受けていたのですが、それを知らなかったのです。だから、それをすべて明らかにする必要があったのです」と期間が長くなった理由を述べている。
リーヒル牧師は、人生で2度悪魔に会ったことがあると語っている。その時リーヒル氏はまだ一般企業で働いており、ようやく聖書について学び始めたころだった。
「私が教会から出てくると、そこにはカスタムメイドのスーツを着たハンサムな男性がいて、私をじっと見ていたのです。私がオフィスに向かって歩こうとすると彼は私の隣に駆け寄り、私の腕をつかみました。そして『1杯飲もう』と言ってきたんです。次の瞬間、体のあちこちに悪寒が走り、私は思わず『離れてくれ』と言ったんです」
その時は変な人に絡まれた程度に考えていたようだが、しばらく後にリーヒル牧師は再びこの人物と邂逅した。
「私が休暇でマイアミに住む銀行家の友人を訪ねた時の話です。一緒にいた2人の女の子が一人のハンサムな男性を見始めた。振り返った私の目に入ったのは、あのとき教会で声をかけてきた男性だったんです。彼はドリンクを取りながら『ここで何してるんだ?神父になるんじゃなかったのか?』そして『ここは俺の縄張りだ。ここにいてはいけない』と警告してきました」
数年後、神父になってようやくリーヒル牧師はあの見知らぬ男が悪魔であり、信仰の道に進もうとしていた自分を堕落させようとしてきた存在だったと理解したそうだ。悪魔と戦うエクソシストにも、悪魔は誘惑の手を伸ばすということなのだろうか。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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