ホームの横浜スタジアム17連勝中と無双状態での首位攻防戦。ファンのボルテージがマックスまで高まる中での直接対決は、まさかの3連敗で幕を閉じた。
完膚なきまでにたたきのめされた一番の要因は、スワローズの主砲・村上宗隆の大きすぎる存在だった。初戦の先発・大貫晋一が2打席封じた後の第3打席、史上最年少150号逆転弾をライトスタンドへ突き刺すと、3日間凡退はなし。3連戦で11打数9安打、ホームラン4本、打点9と大暴れした上に、14打席連続で出塁もマーク。2013年にカープの廣瀬純氏が達成した15にリーチをかけるなど、まさに無双状態だった。
三浦大輔監督もこの怪物を止めることでスワローズの勢いを減速させるべく、あからさまに勝負を避けることは最小限にとどめ、戦った。しかし28日、同点に追い付いた後の先頭で打席に入った村上に対してぶつけたエドウィン・エスコバーも痛恨の決勝ホームランを被弾。9回には裏の攻撃でミラクルを起こすべくビハインドでも抑えの切り札・山崎康晃を投入し、村上封じで勢いをつけるピッチングを期待したが151キロのストレートを軽打でヒットにされるなど、最後の最後まで抑えることができなかった。
指揮官も「勝負にいって打たれた。監督の責任です。痛い3連敗ですし悔しい3連敗です。めちゃくちゃ痛いです」とうなだれた。ただ同時に「まだ終わりじゃないし、可能性があるわけですから」と気を取り直し「まだまだゲームセットじゃないですから、やり返す“反撃”ってところでね、心をひとつにして巻き返せるようにやるしかないです」と、勝負師の目には反逆の炎が宿っていた。
7ゲーム差と燕の尾は再び遠ざかってしまったが、9月にはまだ5試合の直接対決が待っている。この怪物にやられた屈辱を糧にリベンジを果たすことができれば、何かが起こる可能性はまだ、残されている。
取材・文・写真 / 萩原孝弘