三原一晃球団代表は前半の戦いを振り返り「非常に投手陣の負担が多くなっている。特に今年は後半に流れた試合が多くありますので、中継ぎ投手陣の力が必要になってくる」と分析。前半戦終了時点でゲーム消化数はリーグで最も少ない89試合だが、伊勢大夢とエドウィン・エスコバーはともにリーグ最多の45試合登板。田中健二朗や平田真吾、入江大生はどんな場面でもマウンドに上がり、ストッパーの山崎康晃を含む6人が30試合以上登板とフル回転。一時期は借金完済に成功したチームの原動力となっているのは、ブルペン陣の奮闘が大きな要因となっている。フロントも後半戦に向けて、登板過多の中継ぎをテコ入れすることに重点を置き、補強を敢行した。
まずは16日にロバート・ガゼルマン投手を獲得。腰痛の具合が思わしくないマイケル・ピープルズをリリースし、一時期は貴重な中継ぎとして機能していたブルックス・クリスキーは7月5日に右前腕の炎症で抹消。メジャーでも通算15セーブを挙げている身長193センチ、体重95キロの大型右腕・ガゼルマンには、彼らの穴を埋めてもらう活躍を期待したい。
28日には伊藤裕季也との交換トレードで、イーグルスから森原康平投手を獲得。プロ6年で先発は0。リリーバーとして177試合に登板し8勝4セーブ、49ホールドと実績十分の剛腕は「三振をしっかり取れるピッチングをして、チームをどんどん上に、まだ行けると思うんで1試合でも多く役に立てるようにやっていきたい」との言葉通り、上位進出の鍵となりそうだ。
30日には平良拳太郎と宮城滝太の両投手を、育成から支配下契約選手へと移行。平良はトミー・ジョン手術明けでまだ実戦登板は果たしていないが、終盤の苦しい時期への復活を期待しての格上げだろう。宮城は昨年オフに右肘にメスを入れたが術後は順調で、今シーズンはファームながら6月後半まで防御率1点台をキープ。育成4年目のギリギリで、背番号2桁の92を手に入れた。未だ先の見えないコロナの影響もあり、2人の支配下が後になってものを言う展開も十分に考えられる。
フロントも最低でもCS、そしてその先を見据えた補強で戦力を整えたベイスターズ。2年目の三浦大輔監督の“反撃”へ向け、新しい4本の矢を武器に群雄割拠のセ・リーグを戦い抜く。
写真・取材・文 / 萩原孝弘