今や、大物MCのくりぃむしちゅー・上田晋也やバナナマン・設楽統なども、川島のように、ひな壇の一員からMCへと抜け出した芸人だ。上田は博識な上に、たとえツッコミがハマりにハマったし、コント職人としての色が強く、テレビ向きでないとされていた設楽は、バラエティーで必ず“企画の説明役”を担い、番組を進行させていった。2人は、笑いも取れて進行もできるハイブリッドを武器に、MCへと駆け上がったのである。
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「上田以降の世代で言うと、オードリー・若林正恭、南海キャンディーズ・山里亮太などが挙げられます。彼らもMC横として台頭した芸人たち。2人もまた、バラエティーで経験を積み、スタッフから信頼を勝ち取ってきました。ベクトルは違いますが、山里も若林も、ラジオや著書などで自分の負の部分をさらけ出し、エネルギーに変えて笑いに昇華させていった。これは今までなかった戦い方ですよね」(芸能ライター)
ここ数年、コンビを離れ、ピンでMC横芸人、またはMCとして注目されているのが、千鳥・ノブとかまいたち・濱家隆一。濱家は近年バラエティーに顔を出し始めたばかり、ノブは山里や若林の先輩であり、MC力は折り紙付きだが、上の世代も下の世代もひしめき合っているため、バラエティーの席が少ない。コンビとしては成功を収めているものの、ピンMCとして、今後どう羽ばたくのか注目されている。
では、MCではなく、MC横芸人を主戦場としている芸人たちは、どのような状況なのだろうか。
「MC横芸人としては、陣内智則、バイきんぐ・小峠英二、平成ノブシコブシ・吉村崇、ハライチ・澤部佑などがいます。そこに参入しようとしているのが、パンサー・向井慧です。彼は正統派のMCタイプでありながら、実は心の中に潜む怒りや苦しみをノートに書き記していることが番組で明らかとなり、その闇部分が注目を集めています。これからが期待されていますが、小峠ら先輩芸人がMC横に鎮座しているため、なかなか経験を積むことができません。番組の1コーナーなどを着実にこなし、ステップを踏んでいくしかないのです」(同上)
向井以降の世代(お笑い第七世代)もほぼすし詰め状態だ。最近では、売れるとすぐに番組を持つケースがあるが、それだと経験がなさすぎて、すぐに頭打ちになるのは目に見えている。実力派の芸人が詰まっている分、若手が育ちにくい環境ではあるのだ。
才能ある人材が多いのは良いことだが、MC候補芸人が番組側の分母より上回っているのが現状である。下の世代のMCを担う若手たちは、地上波だけでなく、劇場や配信系などにも目を向けて、実力をつけていくしかなさそうだ。