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あの犯人達に影響を与えた? 稀代の毒殺犯グレアム・ヤング

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画像はイメージです。

 2014年、元女子大学生(当時19歳)が知人の70代女性を殺人。後の捜査で高校時代の同級生らに劇薬の硫酸タリウムを飲ませ、経過を観察していた事が判明した。今年になって元女子大学生の裁判員裁判が始まり、事件の報道がなされている事で改めて事件の詳細に関して思い出した人も多いのではないだろうか。

 また、2005年には母親に劇物のタリウムなどを摂取させ、その経緯を日記に付けていた女子高生が逮捕される事件も発生している。

 これらの事件に影響を与えたのではないか、とされる人物がイギリスの連続殺人犯グレアム・ヤングである。

 彼は1971年、自身が勤務する写真店の従業員らに猛毒のタリウムを茶などに混入させて飲ませ、衰弱する様子を経過観察するように日記に付けていた。ここで従業員が2名死亡しており、彼はこの容疑で逮捕された。

 だが、グレアムはそれ以前に継母も毒物で殺害していた。

 彼は1947年にイギリスで生まれたが、出産後3か月で母親が結核で亡くなり、親戚の元に数年間預けられるなど複雑な家庭環境で過ごす。きわめて聡明であったが友人を作るのが苦手で、1人で本を読んで過ごすことなどが多かった。幼い頃から化学に興味を持つようになったグレアムは、やがて劇薬の収集を始めたり、黒魔術やナチズムに傾倒していく。そして、10代の頃には家族を初めとする周囲の人物に劇薬を盛り、昔から折り合いの悪い継母を毒殺することにも成功したのである。継母の遺体はすぐに火葬されてしまったため、殺害の証拠は出なかったが、周囲の人間に彼が毒物を盛った事が判明し彼は精神病院に入院することになる。しかし、彼はそこでも薬物の実験を繰り返し、一方で薬物への興味が無くなったように演技することで退院にこぎ着けたのである。

 そして、社会復帰した後に勤めた写真店にて殺人事件を起こし、逮捕された。

 彼が残していた記録には、薬物を摂取した人物や投与される予定の近しい人々に対して気遣うような、気の毒に思うような文面もあった。そこで警察がなぜ親しい人にこのような事をしようと思ったのか、尋ねてみたところ彼はこう答えたと言う。

 「おそらく、僕は彼らを人として見ることをやめてしまったんだと思います。彼らはモルモットになっていたんです」

 また、相手を気遣うような記述に対しても、「僕に良心があると云えば偽善になるでしょう。僕の魂は空っぽで、何も感じられないんです」とも答えている。なお、後に彼の所行を詳細に記したノンフィクション小説「毒殺日記」が刊行されており、和訳も出ているが、こちらは2005年に母親にタリウムを飲ませた女子高生が愛読し影響を受けたと証言している。

 グレアム・ヤングは1990年に獄中で心臓発作で無くなっている。

文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所

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