この河童のミイラは長い手足で体育座りをしており、細かく生え並んだ牙、窪んだ鼻、つり上がった目など非常に特徴的な顔をしておりまさに未確認生物と呼ぶにふさわしい形相をしている。
河童といえば万人がイメージするのは背中の甲羅や頭のお皿であるが、残念ながらこの写真には写っていない。頭もフサフサで人間のオカッパ頭に似ているため、あまり河童らしい特徴は見受けられないのがこのミイラの特徴である(近所のおばちゃん風? に見えるのはご愛嬌か)。
さて、こちらの写真であるが大分県の別府温泉にあった「未確認生物のテーマーパーク」との別名を持つ「八幡地獄の怪物館」に展示されていたミイラの一種である。
こちらの「怪物館」には河童のほかにも「鬼の等身大骸骨」や「件(くだん)のミイラ」「人魚のミイラ」など数種類の怪しい動物が展示されており訪れる人を楽しませていた。
これらのミイラは一部を除き、昭和38年頃の閉館とともに残念ながら行方不明となってしまったという。
さて、河童のミイラであるが「怪物館」以外にも日本各地で多数のミイラが発見されている。
2012年に本ミステリー記事にて紹介した東京都青梅市の河童をはじめ、佐賀県の酒屋で見つかった「河泊」と呼ばれているミイラのほか、福岡県や東京都の浅草には「河童の手」とされる怪物の腕が保管されている(河童の手が多数見つかっているのは河童が人間に悪さをするため刀で切られたものとする逸話が多い)。
河童のミイラは日本各地で見つかっているものの、多くは人間の手によって作られた「見世物」であることが判明している。そのため制作した職人によって微妙に形が異なっており、今回の大分県のミイラも多数ある手作りミイラである可能性が非常に高い。
「河童が存在した」というロマンを感じるのも楽しいが、職人が作った河童の造形を見比べてみるのもまた一興と言ったところか。
(山口敏太郎事務所)