今回のワールドカップが始まるまでは、世間の人はあんまりラグビーに関心持ってなかったと思うけど、日本代表の活躍でどんどんファンが増えていったな。
俺も最初は、「ラグビーのワールドカップって15人制? 7人制のオリンピック予選とは違うの?」みたいな感覚だった。書店にも「すぐ分かるラグビーのルール」みたいな本がいっぱい並んでいたし、多くの日本人は、そのくらいの知識だったと思うんだよ。
でも、ルールが分からなくても、試合を見たらあの体格の選手たちがガツガツぶつかり合ってて迫力があるし、問答無用で興奮するものがあった。
日本人プロレスラーでラグビー出身といえば、グレート草津さんや、阿修羅・原さんが有名だね。原さんは日本人として初めて世界選抜メンバーにも選ばれたくらいの名プロップ。あとは…KENSO選手か(笑)。最近ではDDTという団体にいる飯野雄貴選手がラグビー出身で脚光を浴び始めてるみたいだな。
ラグビー選手は肉体を鍛え上げてるけど、あれだけ激しくぶつかり合って、スクラム組んでたら、ケガは日常茶飯事だと思う。ワールドカップ開催中は、気合も入ってるだろうし、ちょっとした突き指とか脱臼ぐらいだったらケガじゃないような雰囲気かもしれないけど、そのダメージというのは蓄積していくからな。
ラグビーに限らず、スポーツ選手は、現役中にケガを繰り返して、体を壊して引退することが多い。でも、ケガを怖がった時点で、競技ができなくなってしまう。
だから、ケガや事故を回避することだけじゃなく、そのケアも大事だし、故障とどう付き合っていくのか、というのがポイントだよね。
プロレスでも、ケガをしてしまって、その部分をかばいながら試合をするということがあるけど、それで別の箇所にダメージが蓄積してしまうことがある。
アメフトはヘルメットを着けてるからラグビーより安全に見えるけど、あれでガンガンぶつかり合うことで脳震とうになることが多くて、引退後までダメージが残ることもあるって言うよ。
だからスポーツ選手は、どうしたって現役を引退するときが来るんだから、その後の人生やセカンドキャリアという事も考えなければいけないんだよ。
監督やコーチのような指導者や解説者みたいに、引退後も同じ世界に残れる選手はひと握り。特に野球とかサッカー、プロレスもそうだけど、現役時代は華やかなライトを浴びるから、引退して一般人として第二の人生を歩むというのは精神的にもハードルが高い。
でも、俺の印象だと、ラグビーは昔からOBとか縦の繋がりがしっかりしてて、その紹介で一般職に就職するとか、そういう道ができてる気がするね。ラガーマンの絆や誇りを感じるよ。
まぁ、あれだけの体格と根性があるんだから、セカンドキャリアとしてプロレスに転向というのも、もっとあっていいんじゃねえか。仮に日本代表選手レベルなら、すぐに人気が出るぞ。
プロレスに興味があるラガーマンがいたら、とりあえず俺に相談してくれよ(ニヤリ)。
********************************************
蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。