わんぱく横綱を待ち受けていたのは厳しい現実だった。
秋場所千秋楽から一夜明けたこの日、およそ30分にわたって行われた横審。出席した11名の委員からは2連覇を果たした白鵬について「横綱としての責任感や使命感にあふれ、感激した」と賞賛の声が上がった。
一方で左ヒジじん帯損傷により秋場所を途中休場した朝青龍については進展はなかった。
内舘牧子委員から「こんなに一気にガタがくるとは驚いた。おごっていた部分があると思う」とケイコ不足との指摘があったものの、海老沢勝二委員長は復帰場所について「早く治して、万全の体調で強い横綱として復帰してほしいと思います。出る時期の判断は自身がするだろう」と本人に任せる意向を示した。
とりあえず引退勧告を回避したわんぱく横綱だが、復帰戦に向けて横審から厳しいハードルが課せられた。
まず左ヒジ治療ためのモンゴル帰国については「朝青龍は通院しながら治します」(内舘委員)とピシャリ。里帰りを認めない方針が打ち出された。
それだけではない。この日の横審では、10月12日の横浜からスタートする秋場所巡業の参加には「未定」としながらも、断髪式や引退相撲などのいわゆる「花相撲」については「土俵入りをするだけでも」と出場を要請する声が上がったという。
新理事長の粛清大号令により、行動を制限された朝青龍。この日、八百長疑惑記事の裁判で、10月3日に東京地裁に出廷する打ち合わせのため、両国国技館を訪れたが終始不機嫌。帰り際に報道陣から打ち合わせ内容を問われ「なんで、お前に言わなきゃいけないんだよ」とブンむくれた。
モンゴル帰郷というリフレッシュ手段を遮断され、花相撲の参加を要請された朝青龍。このまま再び悪循環に陥らないことを祈るばかりだ。