「ヤクルトの小川淳司シニアディレクター(前監督)の姿も確認されています。このクラスが直接視察に訪れたわけですから、ヤクルトはガッカリだったでしょう」(地元関係者)
エースを初戦で温存したのは同校監督の甲子園出場を目指すうえでの戦略であり、プロ側の予定に合わすわけには行かない。
「高橋クンは12球団が1位指名候補に上げている好投手です。この時期は誰を1位指名するか最終決定していませんし、中京地区担当のスカウトは高橋クンに張り付かなければなりません」(メディア関係者)
しかし、この温存策についてはこうも解釈できる。この試合に駆けつけたのは10球団。この日、初戦視察を見送った2球団の動向が、肩すかしを食らった10球団の話題となった。今年は大学、社会人にも好投手が多い。強豪の可能性がもっとも高い高橋の入札を見送り、「堅実な指名路線に切り換えたのではないか?」との声も聞かれた。
「いや、欠席した2球団は高橋に関する新たな情報ルートを得たのではないか。初戦は投げないという確実な情報を得て、この日の視察を見送ったのではないか」(在阪球団関係者)
高橋は「この球団でなければならない」という、“指名球団に関する強い希望”は出していない。1位指名は入札抽選となるため、「スカウトの熱意よりもクジ運」の現実もある。「12球団OK」の選手に密着する必要性はなくなっているのだ。
肩すかしを食らった球団の関係者がこう反論していた。
「高橋クンは主将でもあります。試合に出ないときの態度というか、自分が登板しない試合だからこそ見えてくるものがあるんです。今日の高橋クンのチームメイトに接する態度、声を掛けるタイミング、ベンチでの立ち振る舞いなど、本当に良いものを見せてもらいましたよ」
高橋に対する調査は終わっており、『特A』の評価は変わらないだろう。視察を見送った2球団に対してだが、「指名するか、しないか」で他球団を迷わすための陽動作戦ではないかとの声がもっとも多く聞かれた。甲子園の代表校が決まるのはまだ先の話だが、ドラフト1位候補を巡る駆け引きは佳境を迎えている。