歴史は繰り返される。そして、競馬は往々にしてそのジンクスがつきまとうもの。今週のキーワードはズバリ「矢野照厩舎」だ。
このAR共和国杯と同厩舎は切っても切れない間柄にある。1985年11月17日、記念すべき初重賞制覇をブラックスキー(福島記念)で果たした数分後だった。返す刀でイナノラバージョンがAR共和国杯を勝利。同日2重賞制覇という偉業を達成した厩舎にとって、この2重賞は忘れることのできないメモリアルレースだ。とりわけ、AR共和国杯は、その後もマーベラスタイマー(99年)がゲットしたほか、一昨年にもテンジンムサシで2着に善戦。同厩舎は“AR共和国杯ステーブル”として名を馳せている(?)。
そして今年は、前記・テンジンムサシに酷似した馬が参戦を表明。テンジンと同じく、500万→1000万を連勝して駒を進めてきた◎ドラゴンキャプテンだ。それまでの歩みもさることながら、鞍上の石神まで一緒。無論、所属はいうまでもなく矢野照厩舎だ。ここまで“モロかぶり”だと、薄気味悪ささえ感じてしまう。
もちろん、特注馬に推すからにはれっきとした根拠もある。
「脚元の不安があってダートを使っていた」(矢野照師)ころは結果を出せずにいたが、前々走で久々の芝を使われると一変。手綱を取った藤田騎手をして「久々の芝で戸惑っていたのに、直線の伸びはすごかった。かなり能力を感じるね」と言わしめたのだ。
前走にしても、前崩れの展開を3番手からしぶとく伸びてV2。着差はハナだが、それ以上の勝負根性と粘り強さを印象付けた。「まだ条件馬だが、過去の成績からも通用するはずだからね。それにここまでの勝ち方も良かった。そもそも、ノーチャンスなら使わないよ」と師も予想以上の活躍ぶりにニッコリ。500mの距離延長に関しても「大歓迎だよ」とキッパリ言い切った。
リアルシャダイの肌にアンバーシャダイと、血統は距離が延びれば延びるほどいいタイプ。きっと前走以上のパフォーマンスを発揮してくれるに違いない。
北Cコース5F67秒0→52秒5→38秒8→12秒3(馬なり)という最終追い切り後には、「これまでで一番のデキ。今の充実度でこのハンデ(51kg)。しかも好条件が重なっているんだからね」と色気たっぷりな表情を見せた師。今年も“矢野照旋風”が巻き起こるはずだ。