フェロモンボディーが真夏の視線を独り占めにした。この日、真壁刀義との準決勝を制し、初の決勝の舞台に駒を進めた棚橋。準決勝で中邑真輔を下して決勝に勝ち上がってきた現王者の永田と激突した。
4・13大阪大会のIWGP戦で5度目の防衛に失敗して以来となる因縁の相手とのリベンジマッチ。この上ない最高の舞台が整った。王座陥落後は右ヒザを手術し「もう一度チャンピオンになるために最短距離を突っ走る」。そう誓って今大会での再浮上を狙っていた。
その思いを爆発させた決勝戦。永田の強烈な左ミドルキックを鍛え抜かれたボディーで受け止めガマンの展開を強いられた序盤だったが、エプロンでのドラゴンスクリューを機に雄たけびをあげると目の色を変えた。
場外で苦悶する永田にハイフライフローを発射。負傷をもかえりみないアグレッシブなファイト姿勢をみせた。永田に「テーイッ!!」とビンタで張られようとも微動だにしない。終盤には雪崩式のエクスプロイダー、ナガタロックのフルコースを乗り切るド根性をみせると、会場から大「タナハシ」コール。黄色い声援にも後押しされ、フェロモンボディーからは最高潮のアドレナリンが放出された。
するとドラゴンスクリュー5連発で永田の左足を破壊。間髪入れずダルマ式ジャーマンで息の根を止めると最後は19分2秒、伝家の宝刀ハイフライフロー。執念で3カウントをもぎ取った。試合後はマイクを握り「必ずオレたちの時代でプロレスを爆発させます。みなさん愛してます」と喜びを爆発させた。
悲願のG1初優勝。次なる目標はもちろんIWGP奪還しかない。