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本好きのリビドー

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提供:週刊実話

◎悦楽の1冊
『天人―深代惇郎と新聞の時代』 後藤正治 講談社文庫 900円(本体価格)

★史上最高と評されるコラムニスト

 読売『編集手帳』、産経『産経抄』、さらに東京『大波小波』と各紙コラム欄を比べ抜群の知名度といえば『天声人語』にとどめを刺す。

 いまやその質の低劣といわゆる「文品」(本書中にある言葉。意味は直接手にして是非)のなさにおいて、特に長年の愛読者でなくとも目を覆うばかりの拍車がかかってみえるのが朝日新聞の名物コラム「天声人語」。

 かつて大学入試の難問奇問ぶりを痛烈に批判しておいて、いま“今年も入試問題に一番多く採用されました”云々を殺し文句に「天声人語書き写しノート」なるグッズまでいけしゃあしゃあと販売する商魂逞しさだけは見上げたものだが、やはりそれだけ縋れる過去の栄光があって、46歳の若さで世を去った深代惇郎が名筆を揮った時期の前後がまさにそれなのだろう。

 死に至るまで3年に満たぬ短い間の担当だったとはいえ、彼の「天声人語」は一種の文学的鑑賞に耐え得るとさえ評され、現在も読み継がれる。

 深代のよきライバル本田靖春はじめ、彼をめぐる数多の名物記者仲間、先輩後輩の群像を銘々伝風に描き添えることで「新聞が熱かった時代」が立体的に浮かび上がるのにつれ、大量に抱えた週刊誌ダネを元手に官房長官への“質問”を執拗に繰り返す現今の新聞記者の姿が脳裏をよぎって感慨の念を禁じ得ない。

 余談だが著者にプロ野球を題材にした名作が二つあり。延長12回を投げてNHNRを達成した上、サヨナラ本塁打まで放ち「野球は1人でも勝てる」と呟いた阪神の頃の江夏を描く『牙―江夏豊とその時代』と、衣笠・達川・大野らを見出した木庭教に取材した『スカウト』で、どちらも講談社文庫で絶版なのが残念だ。復刊を強く望む。
_(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 タイトルは『東京大停電 電気が使えなくなる日』(幻冬舎/1400円+税)。

 誇張した題名と思っていたが、東京の目と鼻の先にある千葉県で、現実に近いことが起きた。台風の被害によって停電に見舞われた同県は、この原稿を書いている9月23日時点でまだ完全復旧していない。台風が通過したのは9日未明。じつに2週間近く、暗闇の中ですごす生活が一部で続いている。

 今回の停電は国や自治体の初動の遅れが原因だという。本書はそうしたことに加え、エネルギー供給のほとんどを輸入に頼っている実態を紹介し、災害時に東京が真っ暗闇に包まれる可能性を示唆している。

 もし、今回の千葉と同レベルの台風被害が東京に及んでいたら…。電気が供給されない以上、交通・流通はすべてストップ、食糧も調達できない。スマホの充電も不可能。災害情報を得ようとしてもテレビも映らない。入院中の患者には死亡者が続出しかねない。

 こうした事態は東日本大震災で経験したはずだ。だが、自然災害が相次いでいながらも改善されていないことが、今回の千葉で露呈した。しかも、本書が警告する問題は、そもそも日本が自前でまかなっている電力は全体の8%にすぎず、電力供給が極めて脆弱であるという点。

 だからといって一般の人間にはどうすることもできないのだが、知らぬ間に未曾有の危機が迫っていることは知っておく必要があるだろう。電気は「あって当たり前」。この考えはもはや常識ではないのである。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

【話題の1冊】著者インタビュー 零時レイ
ナンパが最強のソリューションである 宝島社 1,500円(本体価格)

★自分で人生を切りひらいたことを感じることが重要

――重度の対人恐怖症だったという零時さんですが、なぜナンパをしようと思ったのですか?
零時 5年間引きこもり、ガチの対人恐怖症を発症しました。コンビニのレジの前で身体が固まってモノを買えない。美容室に行けず、外見がむごいことになる。これではいけないと、アルバート・エリスという心理学者の認知行動療法のメソッドを使って、公園で知らない人にあいさつするなど対人恐怖症克服のトレーニングを始め、その延長でナンパに出会いました。ナンパによって病気の克服だけでなく、100点の男を目指す活動に変わったのが大きかったですね。

――ナンパによって、ニートからなんと会社社長にまで上り詰めたとか。どうやったのですか?
零時 アメリカのナンパ心理技術と、日本のストリートナンパの技術を融合させ、女性が本能レベルで食いつく方法を研究しました。結果、単に恋愛感情を抱かせるだけではなく、女性が男性に対し強い承認欲求を感じる『ラポール』と呼ばれる状態を作り出せるようになりました。4000万円貯め込んだデリヘル嬢や、祖母の遺産を継いでいる24歳の女医らとの4件以上の事業案件の話にありつき、そのうちの1つを選んで、会社社長に就任しました。

――ふざけ系、オラオラ系、ナルシスト系、誠実系と4つのナンパスタイルがありますが、どのように使い分けるのでしょうか?
零時 女性に声をかける前にまず「どのスタイルが刺さりそうか?」と目星をつけます。例えば、相手が気の強そうなギャルであれば、オラオラ系か強めのナルシスト系。大人しそうな若い子であれば、弱めのナルシスト系か甘い誠実系。会話が成立したら、緩急をつけてスタイルをチェンジし、ギャップを見せます。会話する中で、どれが一番効くかを見定め、相手を崩していけるようになると、落とせる女性の幅が広がります。

――ナンパ初心者にすぐに始められるナンパ術をご指南、お願いします。
零時 公園で見知らぬ人にあいさつしたり、女性店員と話すなど、まずはハードルの低い、1人でも実行可能なことから始める(ボトムアップ式)。その次に、ナンパできる友人を捕まえて、普段の自分にはできない声かけをやってもらい、マネしてみる(トップダウン式)。女性が微笑んでくれるなど、ちょっとしたことに『自分で人生を切りひらいた感』を感じることができれば、後はその小さな成功を積み重ねていくだけです。気が付けば、人生が雪ダルマ式に好転しているハズですよ。
_(聞き手/程原ケン)

零時レイ(れいじ・れい)
慶應義塾大学卒。同大学院政策・メディア研究科研究生を経て渡仏。3年を経て帰国後、5年間ひきこもる。人格崩壊の危機を感じていた2011年、33歳にして初めてナンパと出合い衝撃を受ける。2015年5月より、NLPナンパ研究所「スパルタ部」を発足。

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