A:ご相談の方のようなケースは、50歳を超えるとほとんどの人が経験するのではないでしょうか。理由としては、運動不足と寝酒がおおいに関係しています。
また、ご相談の方は、仕事はデスクワークで、ストレスがけっこうあるとのこと。自律神経のうちの交感神経優位になり、体は疲れていないのに、精神(神経)は昂ぶっているでしょう。そのことも、入眠や熟睡を妨げる要因になっていると思われます。
お酒のアルコールには、昂ぶった神経を鎮める作用があり、仕事が終わった後の一杯は、心をときほぐし、ストレスを解消します。しかし、睡眠を考えると、寝酒は最悪です。眠りが浅くなり、体がほてり、汗をかき、熟睡できません。
●夕食前に運動を
アルコールの力を借りると、一時的に眠気がもたらされますが、効果はそれまで。むしろ、安眠の敵になると認識すべきでしょう。
お酒を飲む日は(毎日かもしれませんが)、なるべく早い時間から飲み、寝るころには少し醒めている状態がベストです。さらに、飲む前に運動して身体的に疲れておくことも肝要です。飲むことのみに体力を使ってはいけません。それでは飲み過ぎます。
ご相談の方は普段、運動はほとんどしないとのこと。そのことが不眠の要因として大いに関係しているのは間違いないでしょう。言い換えると、体を疲れさせることは安眠の早道です。幼い子供の行動を見るとわかるでしょう。
幼児は日中、活発に活動し、夕食のときに食べながら居眠りをすることがあります。身体が疲れているから、眠くて目を開けていられないのです
大人の場合も、運動やスポーツを行って身体的に疲れると、夜は自然に眠気が訪れます。また、神経が昂ぶっていると眠気が妨げられますが、ストレスと心の昂ぶりを鎮めるためにも運動は役立ちます。
運動は朝でもよいのですが、熟睡のためには夕食の前がベストです。運動の種類はスロージョギングなど、汗を十分にかく少しきついくらいが良いでしょう。
身体的に疲れれば、1杯目のビールは死ぬほどうまいものですが、運動で体力を消耗しているので深酒はそうはできないものです。
牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。