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WBCの後遺症(2) 侍ジャパン新監督よりも難航しそうな重大人事

 去る4月5日、プロ・アマ合同の日本野球協議会侍ジャパン強化委員会が招集された。同日の主テーマは、侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)の後任人事についてだ。他出席者も新監督の人事案が提議されることは事前に聞かされていたという。だが、NPBの熊崎勝彦コミッショナー(75)はこうも言い切ったそうだ。「4月から5月に掛けて(新代表監督を)決めたい」と。なぜ、そんなにも急ぐのか…。関係者の一人が同コミッショナーの心中をこう説明する。

 「次期代表監督の任期については明言しませんでしたが、『21年春の次回WBCまでの4年間』というのが周囲の一致した見方で、それに異議を唱える委員も出ないでしょう。コミッショナーは『東京五輪に向け、万全の新体制作りを』とも話しており、その第一歩が代表監督人事と位置づけていました。一刻も早く決めて、安心したいと思っているのでは」

 新監督のお披露目は今年11月16日から開催される新国際大会・アジアプロ野球チャンピオンシップ2017になるだろう。

 その国際試合スケジュールから逆算して考えれば、ペナントレース終了の10月まで人選の時間は稼げる。代表監督の選考は、野球・ソフトボールが追加競技となった東京五輪をまたぐ重大な人事だ。「新体制の第一歩を」とするコミッショナーの言葉も理解できるが、「4月から5月に掛けて」と期限を定めてしまったので、十分な議論はできないかもしれない。

 別のNPB関係者がこう予想する。

 「熊崎コミッショナーの任期は今年11月まで。自身の任期中に体制を整え、次の人にバトンタッチしたいと考えているのでは」

 同コミッショナーの任期だが、本当は昨季でいったん満了している。しかし、一部の巨人選手による賭博事件が発覚し、その真相究明と事態収拾のため、1年の延長を要請している。

 「ハッキリ言って、熊崎氏は近年のプロ野球コミッショナーのなかで、いちばん仕事をしてくださった方です。毎日出社してくださり、会議はもちろん、各部署への指示も的確で、新聞、雑誌の野球報道にも目を通してくれました。表彰式にしか来ないコミッショナーも過去にはいましたが」(NPB関係者)

 かつて、熊崎氏のコミッショナー就任に難色を示したパ・リーグ球団も、この仕事熱心さを見て、シンパに一転したそうだ。周囲には残留を望む声も多いが、「引き際を意識している」と見る向きもないわけではない。

 「熊崎氏のように一生懸命やってくださった方の後任となれば、適任者を見つけるのは大変ですよ」(前出・同)

 歴代のプロ野球コミッショナーの前職を張れば分かるが、政財界や法曹界などで名を馳せた要人に要請してきた。前出のNPB関係者の言葉を借りれば、「肩書欲しさで引き受けたのでは?」と勘繰りたくなるようなヒドイご仁もいたそうだ。

 近年、アマチュア球界との衝突もなくなり、選手会とももめることはなかった。東京五輪の野球競技はプロ野球界の力だけでは成功には導けない。代表監督として、采配を託せるプロ野球OBは少なくない。しかし、政治力、他団体との調整力、そして、野球界を盛り上げたいとする熱意と責任感を兼ね備えた“有識者”は決して多くない。WBCの盛況を受けて、12球団は代表監督よりも、コミッショナー人事に頭を抱えているそうだ。

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