カリスマの反逆魂をみた。
準決勝は佐藤との日本人最強対決。立ち上がりから目まぐるしい攻防だった。パンチの高速コンビネーションで一気に攻め立てるも、カウンターのヒザ蹴りを合わせられる。互いに一歩も譲らなかったが、2R入って徐々にペースを握った。
身長差11センチをもろともせずに左アッパーをブチ込むと、後ずさりする佐藤をさらにパンチで追撃。2Rを制したが、最後の最後に落とし穴があった。3Rゴング直後に佐藤から左フックと右ストレートを叩きこまれて痛恨のダウン。そのまま判定となり絶体絶命のムードが漂ったが、勝利の女神は魔裟斗を見放さなかった。
幸運にも1-0で決着がつかずに延長ラウンドにもつれ込み、息を吹き返したカリスマは一気に攻め立てる。左ストレートを何発もクリーンヒットさせ、延長ラウンドを3-0。僅差で日本人最強決定戦を制し、ファイナルに駒を進めた。
キシェンコとの頂上決戦でも苦しい展開を強いられた。執ようなインローで左足を撃ち抜かれて苦悶。2R13秒には左フックを食らってダウンを喫したが、それでもカリスマは反逆魂を奮い立たせて3Rに猛チャージをかける。なんとか判定でドローに持ち込むと、延長ラウンドでは手数の止まった相手をパンチとキックのコンビネーションで圧倒。判定3-0で逆転勝ちした。
2003年に王者になってから5年がかりで再び世界の頂に立った。試合後は「本当にようやく獲ることができました。格闘技を15年続けてきて途中であきらめずに最後までやってきてよかった」とリング上で人目をはばからず涙。今後については「冷静になって考えたい」としたが、進退を懸けて臨んだだけに思いもひとしおだった。
MAX不動のエースの王座返り咲きにより、ひとまずハッピーエンドで幕を閉じた今大会。しかし、その舞台裏でなんとも後味の悪い結末が待っていた。
大会終了後に角田信朗ルール統括ディレクターが緊急会見を開き、きわどい判定となった佐藤戦で、なぜか判定結果の読み上げが明らかに遅れてしまったことを釈明。何かのトラブルなのか、はたまた故意に演出で遅らせたのか。
この“疑惑のアナウンス”について角田氏は「MCのボンバー氏の読み上げに時間が開いてしまいました。(採点の)確認で間があいてしまったのは良くないこと。混乱を招いてしまった」と弁解した。
僅差の判定勝ちをものにしてやっとの思いで世界の頂点に立っただけに、今回の紛らわしいアナウンスは、カリスマの王座返り咲きに水を差すハプニングとなった。