そう考えて、2人の仲間と訪れた伊豆大島。夜の桟橋で竿を出しておりますが、アカハタやらホウライヒメジやらといった離島ならではの釣果が出ております、両隣の仲間には…。そして、魚の反応が途切れた夜半すぎには、2人とも仮眠を貪り始めました。
その一方でワタクシはというと、いまだに釣果ゼロ…。正直、眠気はありますが、離島まで来てこのままじゃ寝られないでしょうよ!
まあ、これも釣りにおける「あるある」なのですが、複数人での釣行では釣果の多寡がハッキリ別れることが間々あります。まあ、万事に当てはまるのかもしれませんが、「流れ」というのを明白に感じるケースがよくあるんですな。
20年ほど前だったでしょうか、仲間を誘っての釣行にて今回とは逆パターンになったことがありました。その時は心苦しさから釣り座を譲ったのですが、そういう時に限って魚が掛かるんですよね。
こういった経験から学んだことは、複数での釣行は「総力戦」と考え、自分だけでなく全体の釣果を考えることが大切かと。まあ40歳をすぎたオッサンですから、そのあたりは巧みなわけでして…。若い頃は釣りたい盛りゆえにムキになってやっていましたけど…。
…ンガッ、ゴゴゴゴ…
それにしても、アタリが少ないですなぁ…。ほぼ毎投エサは取られるんですがねぇ…。おそらく漁業権が設定されている大型甲殻類がエサを食っているんでしょう。
…ンゴゴゴゴ〜ッ…
それにしてもアイツら、気持ちよさそうに寝てやがりますなぁ…。
時は草木も眠る丑三つ。この時間は総じてアタリが極端に減るケースが多く、チャンスタイムの朝マヅメに備えて、体力温存を図るのも重要です。
この静まりかえった夜更けの堤防で、ボ〜ッとするのもよいものなんですが、スミマセン、本音はワタクシも眠たいです…。
★総力戦が奏功し大本命登場!
結局、丑三つ時も何も起こらず、やがて東の空が白々としてきます。
車中で仮眠を取っていた仲間もゴソゴソと起き出し、「寒いし腹減ったからカップラーメンでも食おうよ。お湯沸かすからさ」などとのたまいます。そりゃ、アンタは釣れてるからいいでしょうけど、こっちは崖っぷちなのよ! でも…食べます。
湯が沸くのを待つ間、仲間が釣りを再開。もう1人もいつの間にか起き出して、竿を振っております。それからほどなく、湯沸かしがてらに仕掛けを投げ入れた仲間の竿から、道糸が引き出される音が鳴り響きました。すぐに火を止め、竿を手に取って戦闘開始…。
う〜む、実に「流れ」を感じる展開です。相手はがっちりハリに掛かったようで、竿が大きく曲がっております。まさに“パワーファイト”といった様相で、見ているこちらまで興奮が抑えられません。もう1人の仲間も傍らで玉網を構えて準備は万全。これぞ「総力戦」です。
やがて足下の水面に浮かび上がった魚は、黄色い! 本命のハマフエフキです!
無事、玉網に納まった魚を引き揚げて、さっそく計測したところジャスト60センチ。肉付きがよく、脂乗りも期待できそうです。
本命の登場に、3人で喜びの握手! ワタクシはいまだ蚊帳の外ですが、これで美味しいハマフエフキ料理が食えますからねぇ。おこぼれにあずかれるだけでもありがたいのです。
「さあここから!」
追釣を狙って、3人とも真剣勝負モードでエサを打ち返します。しかし、その後は何も起こらず、8時には納竿。釣り場からほど近い御神火温泉にて冷えた体を温めた後、岡田港へと移動して帰りのジェット船に乗り込みます。
船内では、祝杯&釣り談義に華が咲きましたが、それも20分が精いっぱい。すぐに全員寝落ち…となり、竹芝桟橋到着まで爆睡でありました。
★2種の寿司でさらに深酒…
して、お楽しみはこれから。ハマフエフキの宴が待っています。
実際は前回、前々回紹介したアカハタやホウライヒメジ料理と同じ宴席で供されたのですが、シメに出されたのが、ハマフエフキの握りでした。
いやもう、コレがウマかった。しっかりとした脂と旨味は抜群です。切り身を唐辛子醤油に漬け込んで作る郷土料理「べっこう寿司」も負けずに美味。困るなあ、焼酎が進んで仕方ない…。
「やっぱり釣りは総力戦で挑むのがベストだなぁ」
あらためて実感を深めた秋の離島釣行でありました。
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三橋雅彦(みつはしまさひこ)子供の頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。