恵庭市など3市を管轄する千歳保健所には「地震で飼い猫が逃げた」という連絡が9件、札幌市動物管理センターにも22件あったという。このうち千歳保健所に1件、札幌の同センターに15件、「無事帰って来た」と連絡があったというが、犬に関するものはなかった。
「隠れ場所は、住宅の軒下や茂みの中などで、祖先の山猫が潜んでいた岩穴のような、狭くて体のどこかが接していられる場所を好みます。室内飼いの猫は近くにいるケースが多い。大体いなくなった地点から半径約200メートル以内に潜伏しているようです。自宅の敷地内や周辺の家、人通りの少ない場所などが多いですね。自分の位置を把握する能力は高く、混乱が収まり、安心すれば戻ることも多いです」(保健所担当者)
脱走への備えとしては、電話番号を記載した首輪や個体識別用のマイクロチップを着けることが重要だという。
2011年の東日本大震災や16年の熊本地震、大阪北部地震の際にも、揺れ始める前に猫が走り出す動画の投稿が相次いだ。
『日本愛玩動物協会』が阪神大震災後に行った飼い主に対する調査によると、犬で25%以上、猫では39%以上が異常行動を起こしたという。このような犬や猫の異常行動を目にしたら、直後から1週間前ごろまで、大きな地震に注意するように心掛ける必要がありそうだ。
西南学院大の山根明弘・准教授(動物生態学)は「猫は聴覚が鋭く、ひげも微妙な揺れを感知するため、わずかな異変を感じ取り、人間より早く地震に反応している可能性がある。『猫は家に付く』という言葉がある通り、本来、家はとても大事な場所。それなのに逃げるのは、相当なストレスを感じ、地震に混乱し安全な場所を探しているのでしょう」と指摘する。
神奈川工科大学の矢田直之准教授の「動物たちの異常行動による地震予知」研究が世界的に注目されている。矢田氏の研究室では、保護猫のミーとカイル姉弟が首に歩数計を付けて1日の行動を計測されているが、東日本大震災の際には、震災2日前に猫たちの行動がおかしくなったのが計測された。
2匹とも異常によく鳴き、歩数の数も通常よりも400〜500カウントと極端に多くなったとか。よく動物の地震予知の原因は「電磁波」が感知できるからだといわれているが、矢田氏によると、それよりも本能的な「第六感」説が有力視されている。
実際多くの猫たちが起こしたという異常行動を挙げてみたい。
「家の中を走り回る」「ひげがぴんと張り、一点を見つめる」「顔を洗うような動作をする」「高いところに登り、降りようとしない」「異常に鳴く」「家の中を歩き回る」「外へ出ようとする」「背中の筋肉を異常にびくびくさせる」などだ。あくまでも一例であり、すべての猫がこのような行動を起こすとは限らないが、予知の参考にはなる。