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【雅道のサブカル見聞録】知って欲しい! 問題がありすぎる東京都の条例

 「非実在青少年」という言葉をご存知だろうか? 今年3月に東京都が都議会に提出した「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(青少年育成条例)の改正案で、アニメや漫画、ゲームなどに登場する18歳未満のキャラクターに、性的感情の刺激、残虐性の助長、自殺や犯罪等の誘発の危険性がある場合、有害図書(都では不健全図書)にしようと、それらの作品を規制する際の定義付けの言葉として作られた言葉だ。

 「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が可決されると殆どの創作物が曖昧な定義で規制される危険性もあることから話題となった。作家や出版社、ゲーム会社などの反対もあり、ひとまずは改正見送りとなっているが、継続審議となっており、予断を許さない状況である。ただ、この動きは、自分の主観に合わない本を快く思っていない人々が、青少年保護の名のもとに潰そうとしてるとしか思えてならない。まるで独裁政権下の“焚書”のようだ。そういった行動は創作活動にとってマイナスの事態しか起こさないはずだ。
 徳間書店から発売された『非実在青少年読本』は、改正案を現行の条文を照らし合わせて問題点をわかり易く解説している良書である。この問題を最前線で取り組んでいる評論家の藤本由香里、弁護士の山口貴士、他にもイラストレーターの安彦良和や監督の押井守などの著名人のインタビューが掲載され、改正案について各業界の著名人に答えてもらった100人アンケートには沖方丁、大塚英志、倉田英之、谷口吾郎、水島精二など、そうそうたる名前が並ぶ。座談会ページではロリコンマンガ界の巨匠、吾妻ひでおが語り、ちばてつやのコミックエッセイも掲載。クリエイター達が改正案に対してどう思っているか知るにはこれ以上ない本になっている。日本の文化ともいえる二次元創作物を守る為にも、ぜひ、本書を多くの人に読んでもらいたい。

 そして今回は、蛇足ではあるが、最後に筆者からこの言葉を紹介させて頂きたい。

 「道徳的な書物とか、反道徳的な書物とか、そういうものは存在しない。書物とは良く書けているか、それとも書けていないか、そのどちらかである。ただそれだけのことだ」(アイルランド出身の作家 オスカー・ワイルド)

(斎藤雅道)

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