search
とじる
トップ > その他 > 【不朽の名作】ホラーのはずが途中からサイキックバトルになる観月ありさ主演「超少女REIKO」

【不朽の名作】ホラーのはずが途中からサイキックバトルになる観月ありさ主演「超少女REIKO」

pic pic

パッケージ画像です。

 今回は1991年公開の観月ありさ主演アイドル映画『超少女REIKO』を紹介する。

 この作品、ジャンルとしては一応ホラー作品だ。主題歌も観月が担当しており、典型的なアイドル作品ではあるが、終盤からガラリと雰囲気が変わってくるのが特徴となっている。なぜかサイキックアクションに変貌するのだ。

 前半は学校(香稜高校)で頻発するポルターガイスト現象の原因を解明するため、生徒会長・緒方志郎(大沢健)らが結成したESP研究会と共に、霊媒師の祖母を持つ九藤玲子(観月)が謎に挑むという形になっている。その際、違う学校の制服を着た女子高生の幽霊の存在がクローズアップされていくことになり、降霊会を開き暴れる理由を聞こうという流れになる。

 普通のアイドルモノのホラー作品なら、ここで理由を聞いて成仏させて終わりとうことになるだろうが、ここからがこの作品の見どころだ。加勢に駆け付けた玲子の祖母(菅井きん)が霊を自身の体に封じ込め、解決かと思われた直後、霊に反抗され、高所から突き落とされ重傷を負うという展開が待っている。だが、霊の圧倒的な力を見せつけられてもESP研究会は懲りずに霊の発生原因を探り続け、「しみずまちこ」という高校生が、演劇部の渡辺譲治(杉原貴志)とかつて恋愛関係にあり、現在は失踪中だということを知る。ここで、なに思ったのかこの作品では、同じく渡辺と関係のあったイタコの力を持つ深尾麗子(佐倉しおり)が、霊を操って悪事を働いていたという展開になる。

 唐突に今までなにも言及がなかった黒幕が登場。しかもイタコの力を持つという無理やりな展開をするということで、シナリオの雑さは若干ツッコミ所となるが、麗子のキャラづけはかなり特異だ。渡辺を愛するが故に、渡辺との子供を産むと言っていたしみずまちこに暗示をかけて殺し、その霊を操って渡辺に近づく者を片っ端から排除しようとしているという、昼ドラにでも出てきそうな、とてつもなく愛が重いキャラとなっているのだ。正直高校生設定だと違和感がすごい。

 しかし、00年代に入って頻繁にアニメなどに登場するようになった、「ヤンデレ」(相手への好意が強く高まり過ぎ、病的な行動をとるキャラ)の先取りをしているとも言え、その部分ではかなり先進的な発想だったと言えるかも知れない。ちなみに、霊はことあるごとに玲子に危害を加えようとしたが、それも玲子が渡辺に好意を持っていると勘違いした麗子がちょっかいを出していたというオチになっている。恋は盲目を通り越してやりすぎだ。また、困ったことに渡辺が学校に内緒で車登校しているイケメン程度の描写しかなく、どこにそんな魅力があるのかもわかりづらい。もっと女をとっかえひっかえしそうな、ヤンキー風のクズ野郎にするとかの方がインパクトがあったかも。

 ラストの玲子と麗子の決闘シーンは今までのホラーやサスペンスの要素は何だったのかと思えるほどぶっ飛んだものとなっている。霊媒師やイタコの能力を超越したなにかを駆使して律儀に文化祭のイベントをテレポートして巡りながらサイキックバトルを展開する。しかも学校の天井は落ちるわ、壁はぶち抜いて吹っ飛ぶわでもう大変だ。しかも麗子は劇で着ていた甲冑姿のままなので、バトル漫画かと見間違うような状態になっている。さらに戦いの動機がただの男の取り合い(麗子の勘違い)という…。なお、前記したように、麗子は終盤に唐突に登場するので、どこでどう壊れてそういう性格のキャラになってしまったのか、イマイチわからない。玲子が渡辺に好意を持っていると勘違いしたのは、文化祭の劇で渡辺が主役でヒロインが玲子だったので「超能力を使ったでしょ!」と疑ったということになっているが、とくにそれ以前のシーンで伏線を張っている訳ではない。「そこは伏線入れろよ!」と言いたくなるほど、この作品はさらっと流してしまっている。結果、動機も唐突に盛り込まれる感じとなっており、納得できる要素がほぼない状態となっている。正直どうしょもない展開だが、「VSゴジラシリーズ」の特技監督で有名となる大河原孝夫が監督ということもあり、特撮面ではかなり頑張っているかと。

 “アイドル映画”としては、学校の怪談の真相を解明していく、正統派学園ホラーと見せかけて外しにきている部分も含めて、同作はかなりクオリティー的には高い方の作品と言えるだろう。当時の観月もミステリアスな美少女設定に合う。が、サイキックバトルのアクが強すぎて、入院中の祖母を見舞うため、玲子が不在の時に謎を解明しているのにも関わらず、ESP研究会の面々の活躍がイマイチ目立たないのが残念だ。おそらくTVドラマなどにすれば、コメディー要員としてかなり目立ったのでは? ちなみに、ESP研究会のメンバーである内藤由美は島崎和歌子が演じている。お嬢様キャラという設定なのか、「○○ですわ」と、とにかく語尾が気になるキャラで、漫画やアニメではいいが、実写だとこんなに違和感があるものかと思わせる。

(斎藤雅道=毎週土曜日に掲載)

関連記事


その他→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

その他→

もっと見る→

注目タグ