(40歳・地方公務員)
A:そのデータは昨年、英国医師会雑誌に掲載されました。
この研究は1980年代に35〜55歳だったロンドンの公務員を対象として行ったものです。1985年から1993年にかけて飲酒量を調査し、その後、23年にわたって追跡調査しました。結果は、追跡期間中に認知症になった人が397人で、発症の平均年齢は76歳でした。
そして、さまざまな因子を考慮して調整した結果、中年期に禁酒した人と週14単位以上飲酒した者は、週1〜14単位で飲酒した者に比べ、認知症の発症リスクが有意に高かったというのです。
●認知症予防には運動を
しかし、今回のこの研究は観察研究であるため、飲酒が認知症を減らす理由は導かれていません。また、中年期以前の飲酒も関係するかもしれませんが、その関係については明らかになっていません。
ちなみに、ビール500ミリ㍑缶1本、日本酒1合(180ミリ㍑)、ウイスキーダブル1杯(60ミリ㍑)、焼酎0.6合(110ミリ㍑)が、それぞれ1単位に相当します。
では、ご質問の方は今後、お酒を飲んだほうがよいのでしょうか。少量の飲酒は、体の健康に様々な効用があります。飲酒には酒飲みしか分からない楽しさがあります。しかし、飲みすぎが体に悪いことは分かりきっています。
ご質問の方は、40歳まで酒を飲まないで生きてきたのですから、周囲の人も理解しているはず。今さら主義を変える必要もないでしょう。
もし、主義を変えて飲むにしても、ウイスキーや泡盛、ウオッカなどの強い酒は、少量でも口腔がんや食道がんの危険があるので、水やお湯、ソーダなどで割って飲むのをお勧めします。
なお、認知症予防には、ジョギングやウオーキングがよいでしょう。脳を鍛える一番の方法は運動です。
**************************************
牧 典彦氏(ほほえみクリニック院長)
自律神経免疫療法(刺絡)やオゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。ほほえみクリニック(大阪府枚方市)院長。牧老人保健施設(大阪市北区)顧問。いきいきクリニック(大阪市北区)でも診察。