この試合を20時〜21時に放送したTBSの視聴率が、平均16.7%(関東地区)だったことが分かった。瞬間最高視聴率は最終ラウンドが終了し、判定結果を待つ20時55分に記録した23.1%。興毅の試合に先駆けて、19時より放送されたウーゴ・カサレスvs清水智信のWBA世界スーパー・フライ級選手権の平均視聴率は9%だった。
かつては、20%を超える“人気番組”だった興毅のボクシング中継だが、ここ最近は低迷。昨年12・26の世界バンタム級王座を奪取したアレクサンデル・ムニョス戦が13.8%、初防衛戦となった5・7のダニエル・ディアス戦が13.9%と、ふるわなかった。人気回復を期して臨んだ今回の数字は、まずまずの数字で、TBS的には合格点だったようだ。この数字は、同じくTBSが8・10に放送したWBC世界ミニマム級王者・井岡一翔の初防衛戦の視聴率16.6%とほぼ同じで、興毅としては辛うじて面目を保った形。
ただ、ランキング下位の無名選手相手に、3ラウンドにダウンこそ奪ったものの、その後は決定打に欠いての判定決着。その判定も114-113、115-113、115-112ときわどいもので、試合内容には不満が残った。
そんななか、この放送を見た男性視聴者からはブーイングも飛んだという。興行のてこ入れとして、興毅はこの試合に熊田曜子、手島優、杉原杏璃の巨乳アイドル3人をラウンドガールとして投入。これを見たくて、チャンネルを合わせた男性諸氏も多かったのだ。前回の防衛戦(5・7)では熊田がラウンドガールを務めるシーンがテレビで流されたが、今回は全ラウンド後にCMを入れたため、3人の登場シーンは見られず。わずかに、1ラウンド後に登場した熊田の姿が一瞬だけ映されただけだった。
中継を見たという40代のサラリーマンのAさんは、「亀田のボクシングが、特に見たかったわけではありません。ラウンドガール目当てで中継を見たのですが、最後まで映りませんでした。これなら、裏番組を見た方が良かった」と呆れ顔。Aさん同様、巨乳アイドル目当てで中継を見た人も少なくなかったようで、それらの視聴者の落胆ぶりは容易に想像できる。
注目されたタレントのボビー・オロゴンの弟で、K-1、総合から転向したアンディ・オロゴンのボクシングデビュー戦も、ダイジェストですらも流されなかった。
TBSはゲストにAKB48の秋元才加、君が代独唱に13歳の演歌歌手・さくらまや、特別リングアナにタレントのブラザー・コーンを起用するなど、視聴率獲得への手は打ったが、必ずしも視聴者のニーズに合致したとはいえなかった。今後の亀田兄弟のボクシング中継のあり方に、課題を残したともいえる。
なお、アンディは野村明広を2ラウンド、TKOで破り、デビュー戦を白星で飾った。
(落合一郎)