まず、花粉症はなぜ起きるのか。花粉症は花粉によって起きるアレルギー疾患の総称であり、花粉によって体の免疫反応が出ることを指す。
花粉が鼻に付着すると、くしゃみで吹き飛ばしたり鼻水や涙で洗い流し、体外に出そうとする。スギの他、ヒノキ、シラカバ、イネ科、ブタクサなど、約50種類もの植物が花粉症を引き起こすとされているが、代表的なのはスギで、花粉症全体の約70%を占めるといわれる。
今年の花粉の飛散予測について、財団法人気象業務支援センターでは、「今年の花粉は昨年に比べると、九州から東北地方は少なく、特に本州の日本海側と関東甲信地方は非常に少ない」予測している。ただし、昨年は花粉の飛ぶ量が多かったので、今年が飛びぬけて楽になるわけではない。九州から近畿地方のほとんどの地域と北海道(シラカバ花粉)は、例年並みかやや多い。一方、東海から東北地方にかけては例年より少ない見込みだという。
ちなみに、日本気象協会の花粉飛散予測(第3報)によれば、スギ花粉が飛び始める時期は、九州、東海地方の早いところで2月上旬。四国、近畿、関東地方は2月中旬、北陸は日本海側は例年よりも遅め。ただし、ウェザーニューズは1月26日、関東地方で昨年より1週間早く花粉を観測したことを発表している。
専門医らがまとめた「鼻アレルギー診察ガイドライン(2009年版)」では、「初期療法」が勧められている。花粉が飛び始める前から予防的に薬を使う療法だ。これは症状を遅らせ、重症化を防ぐためとされる。
都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科の担当医によると、飛散が始まる予測日の1〜2週間前から医療機関を受診し、薬の処方を受けて服用するのが一般的だ。もちろん、公的医療保険の適用を受けられる。
薬は、「第2世代」と呼ばれる新しいタイプの抗ヒスタミン薬が広く飲まれている。市販薬に多い「第1世代」と比べ、眠気や口の渇きなどの副作用が少ない。
軽症なら1種類の薬で済むことがあるが、昨年のように大量の飛散がある場合は、多くの人に薬の併用が必要になる。症状が強い場合、鼻に吹き付けるタイプのステロイド薬、鼻づまりが特にひどい人には点鼻用の血管収縮薬も検討される。
「いずれにしても、花粉の飛散が終わるまで薬を続けることが大切。良くなったと自己判断で服用をやめると、悪化する恐れがあるので注意が必要です」(耳鼻咽喉科医)