A:目が乾く原因には、まず涙の分泌が少ないことが挙げられます。
二つ目が、脂肪の分泌の低下です。まぶたにあるマイボーム腺の皮脂腺からは、涙がすぐ乾かないように脂肪が分泌され、これが角膜の表面を覆っています。その脂肪が分泌されないと目はすぐ乾いてしまいます。
三つ目は、涙が必要以上に蒸発してしまうことです。空気が乾燥していると、体の水分が奪われやすく、目も乾燥してしまいます。しかも、油分が少ない場合、いっそう乾燥しやすくなります。
四つ目が、まばたきの回数が少ないことです。パソコンやケータイで入力や検索の作業を続けると、画面をじっと見つめ続けることになり、必然的にまばたきの回数は減るものです。
●目を潤す治療と熱を冷ます治療
目が乾く原因には、体質や年齢も関係していますが、以上挙げたように、生活環境やライフスタイルも関係しているとわかるでしょう。
ドライアイは、病態としては目に熱がこもっています。熱がこもっているから乾燥する、解釈するとわかりやすいでしょう。熱はありますが、潤い(水分や油分)は不足しています。熱が強いと結膜の充血も強いものです。
そこでドライアイに対しては、目を潤すとともに熱を冷ます治療を行います。熱を取るには「黄連解毒湯」が、潤すには「麦門冬湯」や「六味丸」が有効です。これらは粘膜を潤す働きがあります。熱と乾燥の程度によって、それらの処方を適宜変えます。
健康保健適用のエキス剤には「釣藤散」もあります。これには、熱を冷ます作用がある石膏や菊花も配合されています。どちらも目に効く生薬です。
「釣藤散」は臨床上、ドライアイの改善に一定の効果があることが確かめられています。漢方薬を利用するに際しては、漢方専門医や漢方に詳しい薬剤師に相談し、指示に従って服用してください。
なお、パソコンなどを操作している時は意識してまばたきをしましょう。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。