そんなウルトラマンの必殺技といえば、やはりスペシウム光線だろう。右手にマイナス、左手にプラスのエネルギーを交差させスパークを放つ技で、シリーズの定番ともなっている。手を十字にクロスさせるポーズが印象的で、男の子ならば一度は憧れてマネした事だろう。
しかし、そんなウルトラマンが光線のほかにも手から“あるもの”を出せることをご存知だろうか? それが登場するのが昭和41年(1966年)に放送された『ウルトラマン』の第13話『オイルSOS』。怪獣が起こした石油コンビナートの大火災をおさめるためにウルトラマンが、問題のものを手から飛び出させる。それが“水”だ。
『ウルトラ水流』と呼ばれるこの必殺技は、シャーと手から水を噴き出させるという水芸のような技なので見た目は地味だが、その巨体から出る水は火災現場で抜群の威力を発揮し見事鎮火をさせた実績を持つ。とは言え消防車代わりのヒーローというのも…ファンには悪いが、なんだかパっとしない気もする…。
だが、地味だからって侮ってはいけない。そんなかくし芸…もとい必殺技が、怪獣との戦いで決め手になった事もあるのだ。同年放送された第23話『故郷は地球』では、怪獣・ジャミラの弱点である水で攻撃するために、このウルトラ水流が使われる場面もあるのだ。やはり、その際も巨体から放たれる水流の威力は凄まじく、化学特捜隊による人工降雨弾攻撃にも耐えたジャミラの粘土質のカラダを溶かして倒すことに成功している。
ちなみに、このジャミラ戦は初代『ウルトラマン』をアメリカ向けにリメイクした『ウルトラマンパワード』でも描かれているが、その戦いで使われる必殺技はウルトラ水流ではなく、メガ・スペシウム光線だった。やっぱ、水じゃかっこ悪いもんね…。