「日本ハムは球団(本社)としても、斎藤に勝ってもらいたい、活躍してもらいたいと願っています」(報道陣の1人)
斎藤が先発ローテーション入りし、楽天・田中将大投手(22)と“甲子園時代の対決”を再現してくれれば、野球ファンの注目を集めるのは必至。プロ野球界を盛り上げるためにも活躍してもらいたいが、その命運を握っているのは、吉井理人・一軍投手コーチ(45)のようである。斎藤の投球フォームには“欠点”があるからだ。
「大学4年秋よりは良くなっているが…」
プロ野球解説者の1人がそう言う。
斎藤が初めてブルペン入りしたのはキャンプ2日目。梨田昌孝監督(57)を相手に力強い投球を続け、スポーツメディアも絶賛していたが、野球の専門家は本当のことを言わなかったようである。
「右足を折り過ぎて、下半身の力が全然ボールに伝わっていません。右足の動きもおかしい。大学3年生くらいから、投球フォームがおかしくなったんです。左足に体重がしっかり乗らないというか、上半身で押すようになったというか…。『本人も分かっている』との情報もあるので、キャンプ終盤、オープン戦で微調整していくんでしょう」(前出・同)
別のプロ野球解説者にも確かめていたが、「みんな分かっていると思うが」と前置きしたり、「実績で修正していくのかな?」という含みのある言い方をしていた。投球フォームがおかしいと思っているのはかなり多いと見ていいだろう。
投球フォームの欠点−−。斎藤は自主トレ期間中、「むしろ、打たれたい」(1月25日)とも話していた。現状としてどれだけ通用するのかを探るためであり、「大学時代と同じ投げ方では通用しない」ことを自覚しているのだろう。こういう発言が出来るのも並の新人とは違うところだが、日本ハム首脳陣は斎藤を『大人扱い』していくつもりだ。
「投球フォームの微調整(修正)も本人に任せ、基本的には斎藤が聞いてきたら教えるというスタンスのようです」(球界関係者)
大卒でも、新人なのだから付きっ切りになってでも教えるべきという意見もある。しかし、こんな情報も聞かれた。
早稲田大学関係者によれば、應武篤良監督(当時)も投球フォームの修正を何度か指摘したことがあったという。しかし、斎藤は「このままで行きたい」とし、頑として聞き入れなかった。そのガンコさは應武監督も頭を抱えたほどで、第三者から頭ごなしに指導されると反発する(あるいは、抵抗を持つ)タイプと目されてきた。自己管理・調整のできるタイプなので、失敗も糧に出来るだろう。
その意味では、日本ハム首脳陣が「大人扱い」したのは間違いではないだろう。
「甲子園時代の斎藤の投球フォームは、綺麗でした。大学時代、意図的に崩したようですね。本人が150キロ越えにこだわったからです」(大学関係者)
甲子園での最速が149キロ。つまり、自分越えの課題として150キロに固執したそうだ。ガンコさ、150キロ越えなど『斎藤の素顔』が見えてくると、1年目の成績は伸び悩み、2ケタを挙げるのは2年目以降とも考えられる。
強いて問題を挙げるとすれば、『燃えつき症候群』だろう。斎藤は甲子園優勝で大学1、2年生のときは「イマイチ、野球に夢中になりきれなかったこと」を大学野球部内で吐露していたそうだ。その通りだとすれば、慶応大学との死闘となった東京六大学秋のリーグ戦の優勝、明治神宮野球大会(大学の部)での優勝は少し気になる。
「吉井コーチは投球フォームのことを切り出すタイミングも見計らっているようですね。コーチなんだから、ガツンと言っても良いと思うんだけど(笑)」(前出・プロ野球解説者)
『人気者』を預かったお目付役の気苦労は、並大抵ではないようだ。