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阪神・金本残留の損得勘定

 FA権を持っていた阪神・金本知憲(42)が、1年契約、年俸5000万円ダウンの4億円(推定)で残留することになったが、本人、球団、現場にとっての損得勘定はどうなのか? ズバリ収支を計算してみると、泣き笑いが…。

 金本が03年に広島から阪神へFA移籍、大成功できた恩人である星野仙一監督が、阪神シニアディレクターを退任して楽天監督に就任したことから、金本の楽天移籍情報が根強く流れ、注目を集めていた。「星野さんが阪神を辞めるのは、本当に寂しい」と金本本人が漏らしたのも、楽天移籍説に拍車をかけた。パ・リーグの楽天ならば、守らなくて良いDHのポジションもある。さらに、東北福祉大出身という地の利もある。
 が、金本が下した決断は阪神残留だった。「失うものはないし、守るものもない。一から違う自分をつくっていくのも楽しみ」というのが、金本本人の弁だが、阪神で現役引退するメリットを考えているのだろう。『アニキ』の愛称が浸透、虎党から絶大な支持を得ており、元広島の主砲だったことさえ忘れ去られている。
 「ケガしても痛いと言わず、黙々とプレーする鉄人・金本が入ったから阪神は変わった。弱小球団から常に優勝争いできるチームに代わった」。こう星野監督が断言するように、鉄人・金本はダメ虎を猛虎に変貌させた貢献度は計り知れない。阪神の永遠のスターとして現役引退すれば、評論家をしても食うには困らないし、近い将来の阪神監督の目も見えてくる。

 来季から新たに2年契約した真弓明信監督だが、今季優勝目前で投手継投策の失敗で大事な試合を落とすなどサイ配面の不安がついて回る。監督としての能力に疑問符が付けられており、長期政権は難しいのが現実だ。しかも、ポスト真弓の最有力候補だった星野シニアディレクターが楽天監督に就任、もう1人の有力候補だった岡田彰布氏は今季からオリックスで指揮を執っている。真弓監督の後任は白紙状態に近い。
 現役引退後の金本が、ポスト真弓最有力候補に躍り出る可能性は大だ。そのためには、阪神で現役を辞める必要がある。そうすれば、黙っていても阪神ファンから熱烈な金本新監督ラブコールが起こる。いくら恩師の星野監督とはいえ、楽天へ行けば、阪神監督のチャンスは消えてしまう。

 ポスト真弓の後任難に頭を悩ます球団トップとしても、金本の流出は何がなんでも避けたい事態だろう。阪神・坂井信也オーナーが、金本残留決定にこうエールを送ったのも当然か。
 「信じてましたけどね。存在感も違いますし、優勝するために是非とも必要なんですから。阪神の顔だけじゃなく、野球界を代表する選手。今シーズンは不本意だったと思いますし、取り返して欲しい」
 さすがに真弓監督の手前、将来の監督候補とまで口にしなかったが、「阪神の顔だけじゃなく、野球界を代表する選手」という表現に、坂井オーナーの真情が込められている。金本本人、坂井オーナーともにメリットがある阪神残留だが、真弓監督の方はたまらないだろう。巨人とのクライマックスシリーズ・ファーストステージ最終戦は、金本を使わなかったように、すでに戦力としては見切っており、期待していない。
 それどころか、残留されてしまったので、また起用法に頭を痛めることになる。右肩が奇跡的に完治して、守りもできればいい。が、42歳という年齢的な衰えも考えれば、いくら鉄人でも完全復活はあり得ないだろう。今季、2割4分1厘、16本塁打、45打点と、阪神移籍後ワーストの成績に終わったのは、右肩痛だけが原因ではないだけに、来季も大きな期待はできない。

 しかし、坂井オーナーの言うように阪神の顔、日本球界を代表する選手だけに、起用法には神経を使う。今年4月にフルイニング出場が1492試合でストップしたものの、連続試合は衣笠祥雄(広島)に次ぐ史上2位の1763試合で継続しているからだ。今季も「5年ぶりのリーグ優勝への最大の障害は、故障でも使わないといけない金本」と言われ、実際にその通りになっている。決断力に欠ける、全方位外交の真弓監督は、金本残留に頭を抱えているだろう。その結果、自らの政権が短期に終わり、その後釜に金本新監督という図式が現実になったら、泣くに泣けない。

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