『日本を脱出する本』(ダイヤモンド社)の著者で、海外移住事情に詳しい安田修氏は、「日本では節約生活でも物価の安い国なら優雅に暮らせる。『だったら海外に住もう』と富裕層ではない人々が移住を選ぶようになった」と明かす。
人気の移住先は東南アジア。たとえば、フィリピンは35歳以上なら2万ドル(約160万円)の預託金を現地銀行に預ければ永住権が取得可能だという。
現在、セブ島のコンドミニアムで暮らす吉田泰平さん(68歳・仮名)も永住権が簡単に取れたことを移住の理由に挙げる。
「その国から身分を保障されているのは大きいよ。ビザなんかと違って、滞在期間に制限はないから」
月々の生活費は約月7万円と年金で収まる範囲。うち家賃は1万PP(フィリピン・ペソ=約2万円)だ。
「間取りは、約15畳のリビング+約8畳の寝室で家具付き。共用プールもある。電気代は月5000PP(約1万円)と割高だが、トータルで見れば安い」
食事は屋台や地元向けの食堂で済ます。食事代は一食あたり100PP(約200円)以下という。
「食費は月1万2000PP(約2万4000円)くらい。酒もビールなら1缶20PP(約50円)だし、普段は移住者仲間の友人と家飲みして、たまに外でパーッと遊ぶ感じかな」
ちなみにフィリピンではナイトスポットも充実。格安で女遊びができるのも大きな魅力だ。
「ゴーゴーバーの子とHする場合、約2時間のショートなら交渉次第だが1500PP(約3000円)程度で足りる。フィリピーナ好きには天国だよ(笑)」
一方、格安で女遊びできる移住先としてはタイも外せない。'08年にバンコクへ移住した富沢忠司さん(57歳・仮名)は、「昔、出張で訪れ、タイの風俗にハマった(笑)」と動機を話す。
バンコクにはソープランドにあたる「マッサージパーラー」が2000B(バーツ=約5400円)程度からで、性感ヘルスに本番が付いた「ファッションマッサージ」なら1300B(約3510円)前後。ただのタイ式マッサージなら1時間150B(約415円)が相場とかなり安い。
「1万B(約2万7000円)あれば、プール付きコンドミニアムに住める。食事も屋台中心なら1食50B(約135円)以下だし、散髪は70B(約189円)程度。タクシーは初乗り35B(約95円)で利用しやすい。日本語の通じる病院も多く、生活の不便さを感じることはないかな」(前出・富沢さん)
移住生活の資金は会社の退職金と貯金を合わせた約1800万円。
「女房とはすでに別れ、息子も独立。タイでなら年金がもらえるまで暮らせる額だし、残りの人生遊んで暮らそうと思った(笑)」(前同)
ただし、そんなタイも年々物価が上昇。そんな背景から「さらに安いから」とここ数年、日本人移住者が急増しているのがカンボジアだ。
'09年に首都プノンペンに移住した坂本幸雄さん(34歳・仮名)は30歳という若さでリタイア生活に突入。その理由について、物価の安さと並んで「銀行金利の高さ」を挙げる。
「カンボジアの銀行は高金利。預金だと7%以上の金利が付くものもあり、1000万円以上の資金があれば利息だけで暮らしていくことが可能。僕に限らず、カンボジア在住の日本人はみんなやってますよ」
物価に関しては、食事は屋台なら一食2000R(リエル=約40円)、日本食レストランも大衆向けなら2万R(約400円)以下と牛丼屋並み。映画館の入場料は7000R(約140円)と日本の10分の1にも満たない。
「当然、女関係も激安。地元民向けの置屋は15ドル(約1200円)程度。外国人向けの店でもその2〜3倍。『こっちのほうが安く女を抱ける』って理由でタイから移住した日本人リタイア生活者も多いですよ」(前同)
それに、カンボジアは滞在ビザの条件が甘い。事前取得の必要もなく、入国時の手続きだけでOK。永住権を持っていなくても事実上、半永久的に滞在可能できる点も大きな魅力となっている。
その他、ビザが切れるたびに東南アジア各国を転々とする栗林義男さん(38歳・仮名)のような人もいる。現在はラオスの首都ビエンチャンに滞在中だ。
「1カ所にいると落ち着かない性分なんです。今はビエンチャンの対岸にあるタイのノーンカーイに住む女の子と付き合っているので近々そっちに行くかも。デートのたびに国境を越えるのは面倒ですから」
物価水準が低い東南アジアならどんなライフスタイルでも安く暮らせる。とりあえずは下見を兼ねて、一度遊びに行ってみるのもいいかもしれない。