中井は、「緊張します」と、厳しい指導で評判の蜷川氏の隣で背筋を伸ばしたが、蜷川氏も74歳。さすがに好々爺(や)となりつつあるのか、「今回の蜷川さんは本領発揮というより中高年演劇部の顧問みたいな感じ」と中井。
共演の西岡徳馬からも「今回の蜷川さんは楽そう。ぼくは(蜷川作品)10本目ですけど、灰皿も飛ばず、怒鳴り声も一度も上がってませんから。昔はそれはもう(怖かった)」と突っ込まれ、“怒れない男”になった蜷川は思わず苦笑いを浮かべていた。
同作は1957年に、監督シドニー・ルメットで映画化された法廷劇の金字塔的な作品で、12人の陪審員がある少年を裁くために激しい議論を交わす。日本でも裁判員制度が今年から始まったこともあり、中井は「ぼくは喜んで行く。役者はいろいろな経験をした方がいい」と裁判員参加にも意欲を見せた。