同じ小田急小田原線の「東海大学前」駅は、同大の広大なキャンパスの北口にたどり着くまで歩いて15分ほどかかる。19年度中に開業予定の「羽沢横浜国大駅」(相鉄新横浜線)も駅から横浜国大常盤台キャンパスの北門付近までは徒歩でゆうに10分はかかる。大学生は健脚なので問題はないとはいえ「前」とは言えないような気が…。
日本の鉄道網の中心である東京駅は、上り電車しか来ないことから“日本で一番高い駅”とヤユされている。愛知県の知多半島のおよそ北半分の東側を通るJR武豊(たけとよ)線の終着駅、武豊駅も東京駅と同じように上り電車しか来ない。鉄道マニアにとってはとても興味深い駅だ。
「武豊線のような支線の場合『本線(東海道線)に向かう列車』が上りになるのですが、武豊線に限って『武豊行が上り』で『東海道線との連絡駅である大府行が下り』になるのです」(鉄道ライター)
同線は大府市から武豊町までの路線距離(営業キロ)19.3キロメートルを走る単線で、JR東海が運営している。ちなみに武豊町の名誉町民は「武豊騎手」だ。同町が生誕地というわけではない。漢字が同じというだけだから「拝命」した武騎手も当時「きょとん」としていた。
なぜ上り、下りが通常と逆なのか。実は東海道線の建設資材を武豊港に陸揚げし、そこから運ぶために同線は武豊の方から建設が始まったという歴史的いきさつがあるからだ。つまり東海道線より先にできたからである。
巨大ターミナル東京と並ぶ“日本一高い駅”が、朝夕のラッシュ時にも数本しか列車がない非電化単線路線にあったというわけだ。