就寝中に頸椎の筋肉がたまたま炎症を起こしたり、寝返りを打った時に頸椎の後ろにある椎間関節や筋肉が捻挫したりするのが原因です。また、疲労や運動などで首の筋肉が炎症を起こしていると、翌朝に目が覚めて重たい頭を持ち上げようと首を動かした時に、首にピリッとした痛みを生じることもあります。また、こうした寝違えやスジ違えは、昼間でも起こります。小さな段差を踏み外したり、後ろを振り向いたりしたときなどに捻挫を起こし、軽い捻挫でも炎症が続いて起こって、痛みがさらに強くなるケースなどです。
寝違えやスジ違えによる痛みは、長くても数日のうちには痛みが少なくなり、いつものように首が動かせるようになることがほとんどです。治療の際には消炎鎮痛薬の湿布やクリームを塗り、痛みが強い時は消炎鎮痛薬を服用しましょう。一刻も早く痛みを和らげたい時は、筋肉を緩める薬やトリガーポイント注射も効果的です。痛くても首を痛む方向にゆっくりと動かすことで、こわばった関節や筋肉がほぐれていきます。
それでも痛みが引かない場合や、痛みが肩甲骨辺りまで響く時、腕にしびれをきたす時は、頸椎からの神経痛の疑いがあります。その際は整形外科クリニックを受診し、原因をよく診てもらいましょう。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp