民主党の鳩山兄(由紀夫氏)新体制と鳩山弟(邦夫氏)謀反で追い詰められた麻生政権。東国原氏の出馬騒動は“麻生降ろし”を加速させかねないものの、自民党にとってはピンチをチャンスに変える可能性を秘めている。小泉元首相が打った郵政選挙のように党内対立を演出することで「自民VS民主」の構図をぼやけさせられるからだ。
それが分かっているから、野党各党はこの騒動をボロクソに批判している。国民新党の亀井静香代表代行は24日の記者会見で、自民党の古賀誠選挙対策委員長が東国原氏に次期衆院選への立候補を求めたことに関し、「あれだけ長い歴史を持つ政党が、最後のあがきで『ここまで落ちた』という醜態をさらしている。私も長くいた党だから、寂しい思いがする」と述べた。
宮崎県出身の福島瑞穂社民党党首も記者会見で「自民党内の人材が払底していることを暴露した結果になった」と指摘。その上で「知事の任期途中に国政に転ずるのは公約に反する」と東国原氏の対応を批判した。
ところが、民主党の小沢一郎代表代行は愛知県田原市で記者団に「自民党がどういう行動、やり方をしているかは関知しない」と述べるにとどめた。政治ポリシーから公に他者を批判することの少ない小沢氏とはいえ、いまは選挙対策の責任者という立場にある。これはいったいどうしたことなのか。
永田町関係者は「民主党は、東国原氏の要求を自民党がのめるはずがないとみている。ヘタな口出しは敵に利することにつながりかねないうえ、東国原氏が自民党に見切りをつけたときには、民主党に取り込めばいいとの考え方も成立する。百戦錬磨の小沢氏にはそんなことは分かりきっているから、沈黙を守っている」と解説する。
実際、自民党内の反発は強い。24日の参院議員総会では、丸山和也氏が「党にエネルギーがないから『力を貸して』と言うこと自体が既に敗北。古賀氏の責任を追及すべきだ。即刻辞任してもらっていい」と辞任を要求。出席者からは「そうだ」と同調する声も出た。
さて、どうなるか。