A:胃から酸っぱいものが上がってくるというと、一般的には胃酸過多により胃酸が逆流する逆流性食道炎という見方がなされます。
しかし、ご質問の方の場合、便秘気味で慢性的に疲れており、精神的にも冴えないとのこと。それらの訴えを総合的に判断すると、胃酸過多以外の状態も考えられます。
一つは胃と腸の動き(ぜん動)が低下し、内容物が停滞しやすい状態が考えられます。また、小腸で消化酵素がうまく働いていない可能性もあります。
消化不良によってガスが発生し、横隔膜を押し上げ、それにより胃の内容物が上がってくると考えられます。胃腸のぜん動運動の低下や消化酵素不足が、胃から酸っぱいものが上がってくる原因かもしれません。
●食前に酢水を飲むとよい
実は、酸っぱいものや苦いものを食べると、消化器官が反応して消化酵素の分泌が促進され、消化管の運動も促進されます。
これを俗に「イヤなもの反射」と呼びます。「イヤなものは早く体外に排泄したい」という反応です。
ですから、消化酵素の分泌を促すために、ゴーヤ、ピーマン、ニガウリなど苦いもの、梅干しや食酢など酸っぱいものなどを適度に摂取すると良いでしょう。
また、砂糖も胃酸の分泌を低下させ、消化管の働きを悪くしますので、甘いものの摂取は少なくしてください。
以上が対策の基本です。
食事はよく噛んで食べ、食前に酢水などを飲むと良いでしょう。酢水は、小さじ2杯の黒酢や果物酢を150mlの水で割って作ります。酢水は濃すぎると良くないので、濃くし過ぎないように注意しましょう。
また、ストレスは交感神経を緊張させるため胃腸の働きは低下します。リラックスをすることで、副交感神経優位になり消化機能を高めます。
なお、逆流性食道炎の治療には胃酸分泌を抑制する薬がよく処方されます。消化不良にこの薬を服用すると、消化不良はますます悪くなる恐れがあるので、注意してください。
首藤紳介氏(表参道首藤クリニック院長)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院、湯島清水坂クリニック等の勤務を経て、表参道首藤クリニック院長。自然療法や代替医療をはじめ、水素温熱免疫療法や再生医療(臍帯血幹細胞治療)などの高度先進医療を実践。