(65歳・アルバイト)
A:私たちの体は、膀胱に一定の量の尿が溜まるまで尿意を覚えない仕組みになっています。過活動膀胱は、その膀胱の機能が低下しており、尿意をコントロールできません。
尿意が切迫し、我慢することができず、我慢しようとすると漏らしてしまいます。頻繁に尿意をもよおしますが、尿の量は多くありません。
過活動膀胱は女性に多いのですが、男性にもみられます。40代くらいに始まり、年代が上がるにつれて増えます。50代以上では男性のほうがやや多いと言われています。
前立腺肥大症や脳、脊髄神経の病気などによって起こる場合もありますが、多くは特発性、つまり原因不明です。ストレスが関係することもありますが、加齢とともに膀胱の機能が低下していることが多いようです。
●ローラーで会陰を刺激
治療には薬物療法もありますが、最近注目されているものに、会陰をローラーでマッサージする方法があります。
会陰(俗に言う、蟻の門渡り)は、男性では陰嚢と肛門の間、女性では陰裂下端と肛門の間の部分です。手でさわると柔らかい感じがしますが、この部分は内部に腹腔内の臓器を下から支える筋肉(骨盤底筋)が存在しています。
ここを軟質ローラーで刺激します。東京都健康長寿医療センター研究所が行った臨床試験の結果、やさしく、ゆっくりと皮膚上でローラーを転がす刺激を就寝前に1分間行うと、過活動膀胱がある人では夜間の頻尿が0.6回減少することが分かりました。
骨盤底筋が刺激され、膀胱機能が回復すると考えられます。軟質ローラーでなく、硬いローラーでは効果は得られません。
この方法は新しい治療方法として注目されています。試してみてください。軟質ローラーは、前出の研究所が開発した製品が販売されています。
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山口康三氏(回生眼科院長)
自治医科大学卒業。眼科医、漢方内科医。食事、運動、睡眠などを改善する生活改善療法を指導し、眼科の病気や生活習慣病の治療に成果を挙げている。日本綜合医学会副会長。