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検査で異常がなくても要注意「自律神経失調症」になりやすいタイプはどれだ!(1)

 自律神経失調症と聞くと、ほとんどの人は「病名は知っているが…」と答え、その多くは、ストレス病の一つのように考えられている。だが、この症状は精神的なものを含め多種多様で、専門医でも見分けが難しいといわれる。今週は、自律神経失調症に対する基礎知識と対処法を考えてみよう。
 「自律神経」は、人間の体を維持するために、我々の意志がないところでも働き続けている神経をいう。たとえば心臓は私たちがコントロールしなくても動き続け、食べ物を食べれば、胃や腸が勝手に消化してくれる。また、暑い時には汗をかいて体温を調節する。

 このように、私たちの健康は、さまざまな自律神経が正常に機能することで保たれている。ところが中高年になると、それらに狂いが生じてくる。
 「運動をしたわけでもないのに、動悸や息切れがする」
 「いつも首や肩が凝っていて、締め付けられるような頭痛がある」
 「よく眠れない。体がだるくて仕方がない」
 こんな症状が出ると「何か病気でも患ったのではないのか」と心配になって病院に行く。医師の指示に従い血液検査、尿検査、心電図といった基礎的な検査はもちろん、超音波、CTスキャン、MRI、内視鏡検査といった専門的な検査まで一通り行う。
 だが、「何も異常は見つからない。単なる気のせいでしょう」と告げられることも少なくない。

 日本心身医学会では、自律神経失調症について「検査してもその症状を裏付ける所見が見いだされず、また器質的病変がないのにさまざまな不定愁訴を訴える状態」と定義付けている。
 不定愁訴というのは、明白な器質的(物理的な)疾患がみられないのに、動悸やめまい、手足のしびれといった自覚症状を訴えるもので、いろいろな検査をしても原因が判明しない。

 しかし最近、こうした症状を『自律神経失調症』とはっきり診断する医者が増えているという。自律神経失調症の定義づけが、より明確にされたことを上げる専門家は多い。自律神経を司る交感神経と副交感神経の2種類のバランスが乱れると、体の機能(呼吸、血液循環、消化、吸収、排泄、体温調節など)が狂ってしまい、さまざまな不快な症状が現れる。これらをはっきりと『自律神経失調症』と定義づけているというのである。
 「患者さんを検査しても、なかなか異常が見つからない。それは、体の中に器質的な病気が見つからないということなんです。つまり心筋梗塞や脳溢血、胃潰瘍、あるいはがんといった物理的な病気が起こっていないということ。自律神経失調症という病気は、自律神経のバランスが乱れて、たいがいは複数の機能に影響が出ます。頑固な肩こりが長く続き、めまいや耳鳴り、頭痛がするなど2、3個以上の症状に悩まされるというのが特徴とされます」

 東京都内で総合クリニックを開く医学博士・浦上尚之院長はこう説明する。さらに付け加えた。
 「自律神経失調症にも、なりやすいタイプがいます。専門的にいえば、交感神経と副交感神経のバランスの崩れやすい人ですね。何事にも完全を求める傾向が強い人、頑張り過ぎるぐらい頑張ってしまう人、他人に頼み事をされたとき、気が進まなくても断れず、過重な負担を背負い込んでしまうタイプ。総じて、人に合わせ過ぎてしまう“いい人”ほどこの症状になりやすいといえます」(浦上院長)

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