A:冬の風邪と夏の風邪は違います。西洋医学的には、冬の風邪と夏の風邪では、風邪の原因となるウイルスの種類が違うことが明らかになっているようです。
漢方では、冬の風邪は寒さによる邪(寒邪)によって起こるととらえています。引き始めにゾクゾク寒気がします。冷えた風邪で、これにもっともよく用いる漢方薬が葛根湯です。邪は病気を引き起こす原因です。
一方、夏の風邪は暑さが邪(熱邪)となって発症すると考えています。暑いために汗をかき、水分がたくさん出て、熱がこもり、その熱が邪となるわけです。
●漢方の「桔梗石膏」が効く
夏風邪の症状は、のど痛、微熱、だるさが特徴です。冬風邪のように、ぞくぞくする寒気はありません。症状は緩やかに進みますが、長引き、なかなかすっきりしないのも特徴です。ご質問の方の症状は、まさに夏風邪のそれです。
夏風邪を引きやすいのは、ご質問の方のように体力がない人です。もともと体力がない人が、夏の暑さで汗をかいて体内の水分のバランスが崩れ、さらに体力が低下し、熱邪に負けて発症するのです。
夏風邪に効く漢方薬で、オススメは「桔梗石膏」です。桔梗と石膏を配合しており、体力のない人に適しています。
桔梗は、喉の痛みを取る作用が優れているし、熱を散じるし、肺にもよい働きをします。石膏は、熱冷ましの妙薬で、咳止めの効果もあります。
夏風邪かなと思ったら、この漢方薬を早めに服用するとよいでしょう。桔梗石膏は健康保険適用のエキス剤があります。
なお、ご質問の方は体力がないことを自覚されているようですが、暑い夏に戸外で運動はしないようにしてください。ますます体力を低下させてしまいます。
***************************************
岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病等に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。