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危ないのは高血糖ばかりではない 震え、動悸、目まい・発狂を引き起こす「低血糖」回避術(2)

 さらに深刻な事態に陥った経験もある。仕事柄、作業が深夜にまで及ぶことが何日かある。そんな時、ふと違和感を覚えて血糖値を測ると、案の定、低血糖(50mg/dl)。いつも通り固形のブドウ糖をかじり、これで収まるだろう思っていた。
 ところが帰宅後、無性にイライラしてきて、突然、大声でワーッと叫び出してしまった。寝ていた奥さんが飛び起き「どうしたの?」と聞くが、自分では何をしているのかわからない。
 翌日、主治医に聞くと「低血糖による錯乱状態」とあっさり言われ、余計にショックだったという。

 東京社会医学研究センターの村上剛主任もこんな例を挙げた。
 「通常は意識に異常をきたすには至らないが、交感神経刺激症状になると、低血糖の発作として、さまざまなことが起こります。とくに精神症状は酷い。睨んでいるような顔つきになり、暴力を振るったり、奇声を上げることもあります。身体的症状は、心拍数や拍出量の増加、手足の痙攣、異常な疲労感などがあります。日中でも眠気をもよおしたり、集中力の欠如、めまい、ふらつき、健忘症なども出て、甘いものの欲求もあります」

 さらに低血糖の原因・誘因について、こう説明する。
 「食事を抜いたり量が極端に少なすぎると、低血糖を起こす。下痢・嘔吐で食事が十分摂取、吸収できない時も同じです。食事の遅れはもちろんですが、Kさんのように速効型、混合型インスリンなどの注射を打った後、すぐに食事が摂れない時にも低血糖が起こります。また、激しい運動や労働量が多過ぎたときも要注意。空腹で血糖値が低い時の運動は避け、普段より運動量が多くなるときは、運動前にバナナなどの捕食を摂るようにすることが大事。激しい運動をした際は、丸1日は低血糖に対する注意が必要です」

 また、やむをえない事情が重なり、低血糖を起こした場合の処置として次の点を挙げている。
 1 意識があれば砂糖を飲む…意識があり経口摂取ができる時は、砂糖15〜20グラムを飲む。糖分を含む缶ジュース・缶コーヒーでも構わない。10〜15分で回復しない時は、再度同量を摂取すること。
 2 α-グルコシダーゼ阻害剤服用時の低血糖の場合はブドウ糖を摂取…血糖の急激な上昇を抑えるこれらの薬を飲んでいて低血糖を起こした場合、砂糖を飲んでもすぐに吸収されないため、回復には時間がかかる。そのため、必ずブドウ糖または、ブドウ糖を多く含む清涼飲料水(例えばファンタグレープ、ファンタオレンジ、コカコーラ、プラッシーなど)を飲むようにする。
 「とにかく低血糖に関しては、予防に優る治療はありません。食事を規則正しく摂り、食前の過激な運動は避け、運動する前は捕食をするなどの注意が必要です。それとインスリン注射は正しい手技を身に付けることが重要です」(前出・村上氏)

 高血糖と違い、低血糖には食事制限がなく、気を付けさえすればコントロールが可能だ。ただ、この病気とは一生付き合っていくという覚悟は必要と思うべきだと、専門医は語る。

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