空港第2ビル駅の改札口を出ると、パスポートチェックのレーン(※現在はチェックは行われずカウンターだけ残っている)の脇に「京成線東成田駅への連絡口」という案内板がかかった別の地下道への入り口がある。だが、駅利用者の大半は空港利用客で、約500mの連絡通路を通るのは空港職員のごく一部。監視カメラが数多く設置されているので安全であるのは間違いないが、日中でさえ人の気配がほとんどない。そのため、ロール・プレイング・ゲームのダンジョンのような雰囲気さえ漂わせている。
閑散としているのは東成田駅も同じで、訪れた平日昼間には数名の駅員と作業員を除くと筆者たち以外の利用客はいなかった。だだっ広い駅構内の半分以上のエリアは衝立によって立ち入りが禁止されており、4つある地下ホームも半分は使用されていない。しかも、よく見ると閉鎖されたホームの駅看板には「成田空港」の文字がある。実は、この東成田駅はかつての成田空港駅だったのだ。
もともと1978年の空港開港に合わせて誕生した駅で、91年に現在の成田空港駅が完成したのに伴い東成田駅に改名。翌年には空港第2ビルが開駅し、両駅の間に連絡用の長い地下通路が設けられた。
空港内にありながら空港最寄り駅でなくなったことで駅としての利便性を失い、ピーク時には1日2万人以上にのぼった利用客も今では、1715人(※2015年の平均乗降人員)に減少。かつて京成線で最も利用者が多かった駅は、同線全駅中ワースト4位に転落している。
成田空港駅だった当時の案内板も数多くあり、時が止まったままかのような東成田駅。その佇まいは、まさに秘境駅のようだ。