興毅は年内の二階級制覇を目指し、3月4日に世界前哨戦に勝利。デンカオセーンとのタイトル戦に向け弾みをつけた。
だが6月9日現在、興毅がデンカオセーンとタイトルマッチを行うことは発表されていない。亀田陣営は、7月25日にメキシコで同級9位のオマール・サラドとの暫定王座戦をWBAに申請しており、あくまでも我が道を行く、を通している。
というのも、王者はマネージャーの二重契約問題などで警察に出頭するなど、防衛戦の開催が困難な状況にあるとされている。加えて、日本での交渉窓口が、亀田家との遺恨を抱えている協栄ジムの金平桂一郎会長というのも敬遠している材料のようだ。
では、二重契約問題は現在どうなっているのか。
デンカオセーンのマネージャーを務める二ワット氏と昔から交流があるという金平桂一郎会長は、王者の現状について「(二重契約問題の裁判は)終わっている。2月にこじれて、3月にデンカオセーンがフリーになった。その後、タイ国のコミッショナーが二ワットさんを認定しました。その後、裁判の結果を不服としてナリスさんが逆に刑事裁判を起こして…。政治的なこともあって、二ワットさんはタイで防衛戦をやらざるを得なかった」と5月26日に行われた久高寛之との初防衛戦の裏側を明かした。また、別のボクシング関係者も「もう完全に二ワットさんがマネージャーです。実際に決着はついたみたいですよ」と証言した。
つまり、王者の防衛戦開催を邪魔する可能性のあった“爆弾”は処理されたのだ。
さらに金平会長は「指名試合として亀田興毅とやるべき」とマネージャーを務める二ワット氏の息子に助言している。その上で「(興毅は)指名挑戦者として最優先権を有しているので。交渉を直接すればいいでしょう。僕は絡んでいかない。(タイトル戦を)見たいでしょう? 見たいですよ」と撤退する意思を表示した。
これで完全に興毅の挑戦を遮るものは無くなった。「タイトル戦? 年内には行われるんじゃないですか。」(前出関係者)となると、亀田サイドは一日も早く狙いをデンカオセーン戦一本に絞るべきだ。
別のボクシング関係者からは「もうコンタクトをとってるみたいですよ」と両陣営が接触したとの情報も飛び出しているが、亀田ジムの五十嵐紀行会長は王者陣営との接触について「していないですね」とキッパリと否定したものの、タイトルマッチについては「試合をしたいです」とコメントした。
暫定戦か、それとも指名試合か。いずれにせよ、デンカオとの対戦は年内には実現することになりそうだ。