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「ノー」と言えない王球団会長!

 10日、都内で『王貞治ベースボールミュージアム』の記者会見が行われた。7月に福岡ドーム内に設立される予定で、すでに2月15日にソフトバンク球団から発表済みだが、今回は王貞治球団会長自らが出席、大々的にアピールするのが狙いだった。その裏にはソフトバンクの危機的な状況がある。

 キャンプからオープン戦と昨年4位の西武が、二軍落ちしたもののゴールデンルーキー・菊池雄星のおかげでマスコミの露出度ダントツのナンバーワンにランク。リーグ連覇を狙う日本ハムは、昨年後半のケガで心配されたダルビッシュ有の奇跡的な早期復活と、2年前のゴールデンルーキー、3年目の中田翔のレギュラー獲りの話題。楽天・ブラウン、ロッテ・西村徳文、オリックス・岡田彰布の新監督トリオもそれぞれのチーム改革が注目されている。そんな中で2年目の秋山幸二監督率いるソフトバンクだけは新鮮な話題ゼロ。

 そこで、世界の王のカリスマ性にオンブにダッコとなったのだ。1月に新設された編成委員会の副委員長に就任した王球団会長は、2年ぶりに春の宮崎キャンプを視察。選手に声をかけるなど、積極的に秋山監督のバックアップに乗り出している。さらに、昨年の秋季キャンプ後に解雇という前代未聞の非情な扱いを受けた森脇前ヘッドコーチを編成委員会のアドバイザーに復帰させる異例の王人事を敢行するなど、まさにフル回転している。
 「最後のご奉公だ。今年は何がなんでも優勝しないといけない」と宣言した通りの有言実行ぶりだ。現場への全力を挙げたバックアップに加え、球団に対する動く広告塔の仕事が今回の王ベースボールミュージアムといえる。王球団会長が動けば、マスコミの露出度も当然、大きくなる。本来は「記録は過去のもの。振り返るのは嫌いなんだ」というモットーがあるだけに、ベースボールミュージアムなどは、主義にあわないはずだ。が、世界の王貞治しかファンの注目を集められない寂しい現実を見れば、「ノー」とは言えない。

 王ファミリーの長男・小久保、次男・松中は衰えが歴然としているし、働き盛りのメジャー帰りの三男・城島は資金難から阪神にさらわれている。12球団一といわれた斉藤、新垣、和田、杉内の最強4本柱も、今では見る影もなく、杉内が孤軍奮闘しているだけ。
 「王さんがユニホームを脱いだら、ホークスは九州ローカルの球団に成り下がり、東京のマスコミに取り上げられなくなる」という危惧が現実のものとなっているのだ。
 球団買収時に「大リーグのワールドチャンピオンチームと日本一チームによるリアル・ワールドシリーズの実現」という遠大な構想を打ち上げた孫正義オーナーだが、夢の夢。ダイエーからソフトバンクになってから5年間、一度も優勝していない。律儀な王球団会長はその事実を何よりも心苦しく思っている。だから、オンブにダッコされても、嫌な顔一つせず、笑顔で八面六臂の活躍をしている。

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