公園で夜、たむろして騒いだり、設備を壊したりする若者には困ったもの。それを追い払うため、足立区は若者だけに聞こえるとされる「キーン」という不快な高周波音を出す装置を区立北鹿浜公園に設置した。区によると、コンビニでは使用例があるが、自治体では初めてとなる。
高周波音発生装置は10センチ前後の立方体で、公園の管理棟の壁面に取り付けた。高周波音は17.6キロで、モスキート音とも呼ばれ、大きさは90〜100デシベル。年齢を重ねるうちに聞こえにくくなるが、20代前半ぐらいまでの若者は、装置から20〜30メートル離れても耳障りな音として聞こえるという。
装置は英国製。区は販売代理業者から無償で提供を受け、来年3月までの予定で5月21日に設置。毎日午後11時から午前4時まで1分間隔で3分間鳴らしている。当初は見物客が集まり、パトカーが出動する騒ぎもあったが、現時点までに被害は確認されていない。
北鹿浜公園では深夜、中高生らが大声で騒いだり、防犯カメラが壊されるなどした。被害は昨年度だけで約70万円で、近所から「うるさくて眠れない」との苦情も続出。区は夜間パトロールを強化したが、抑止効果は上がらなかったという。
同区の増田治行・公園管理課長は「公共施設の公園に、行政が音を使って若者を近寄らせない対応を懸念する声もあった。しかし慎重に検討した結果、試験的にやってみることにした。安易に設置していく考えはない」としている。
区には全国の自治体から問い合わせが来ているという。近所迷惑も考えずにバカ騒ぎする若者を擁護するつもりはないが、まるで動物よけか害虫駆除のような対応策には批判も出てきそうだ。