『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日系)は、タカアンドトシとサンドウィッチマンが交替で日本中を旅するシンプルな番組。『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』の名物企画であった“帰れま10(てん)”を抜粋して、リニューアルしたものだ。
主な企画は、「無人駅で飲食店を見つけるまで帰れない旅」、「秘境路線バスに乗って飲食店を見つける旅」(呼称・バスサンド)、「○○を目指す乗り継ぎ旅!」ほか。進めるのは、サイコロを振って出た数だけだ。飲食店の人気メニュー上位ベストテンをすべて当てるまで帰れない「帰れま10」だけが、現在は唯一のスタジオロケとなる。
テレ朝といえばかつては、『いきなり!黄金伝説。』があまたのタレントを震え上がらせた。出演者が「スタッフさんがガチでクレイジー」と声をそろえるほど、1日24時間カメラを回したからだ。昨年大ヒットした映画じゃないが、ガチで“カメラを止めない”状況が何日も続くのだ。
そのイズムを伝承しているのが“帰れマンデー”。ゆえに、ミラクルがたびたび生まれる。“バスサンド”でそれを示したのは、Kis-My-Ft2の二階堂高嗣だ。
サンドと共演中の『10万円でできるかな』(テレ朝系)では、合計217万円の高額宝くじを当選させた“ジャニーズきってのラッキーボーイ”二階堂。埼玉県飯能市の秘境を訪れた際は、まずサイコロで「2」を出し、無人に近いバス停で飲食店を発見した。ちなみに、「二階堂」の「2」である。続けて、サイコロの最高目である「6」を出してみせたのだ。
番組コンセプトはやや大ざっぱだが、編集は実に丁寧だ。地図データはもちろん、下車した駅の歴史や由来なども事細かく伝える。その町の壮大さ・美しさは空撮でとらえる。出会った人々の優しさも漏らさず、店舗紹介もする。移動中は、その土地出身のミュージシャンのヒット曲がBGM。過酷ロケに挑んでいるメンバーの背中を押す応援歌が選出される。
時間を追うごとに、チームプレーは高まる。疲労は募る。そんな時、サンド・富澤たけしが声を張る。「坂があってからが“帰れマンデー”だ!」。「ゴールがそこである以上、俺たちは行くしかない!」。「歩き続ければ、着かない場所なんてない!」。
44歳の富澤は、膝に水がたまっている。それでも、全体の士気を高めるために突き進む。
“帰れマンデー”は、苦境に立ち向かう人間模様が描かれているのだ。
(伊藤雅奈子)